税理士法人大沢会計事務所

ご存知ですか?「勤務間インターバル」

18.07.02
人事・労務お役立ち情報
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厚生労働省は、平成27年7月に制定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱(過労死等防止対策大綱)」について3年ぶりの改定に向けてその見直しを進めています。
その素案では「勤務間インターバル制度」の数値目標が明記されたことが話題になり、政府は新たな過労死等防止対策大綱を今月(平成30年7月)にも閣議決定する方針です。

皆さんは「勤務間インターバル制度」がどんな制度かご存知ですか?
まず、改定案全体の概要をご紹介いたします。

改定案の全体像・追加事項


●年次有給休暇の状況を追加
●職場におけるハラスメントの発生状況を追加
●啓発すべき事項として、次の事項を追加
 ・勤務間インターバル制度の推進
 ・若年労働者、高年齢労働者、障害者である労働者への取組の推進
●その他
 ・長時間労働の是正対策として、労働時間をICカードなどの「客観的な記録」で会社側が確認することを原則とすることなどを加える
 ・過労死等防止対策の数値目標をまとめた項を設ける(新たに、勤務間インターバル制度に関する数値目標も設定)


勤務間インターバル制度に関する数値目標

●改定案に盛り込まれた「勤務間インターバル制度に関する数値目標」は次のとおりです。
<2020年(平成32年)までの目標>
勤務間インターバル制度について、労働者数30人以上の企業のうち、
 ⑴ 勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を20%未満とする。
 ⑵ 勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設けることについて就業規則又は労使協定等で定めているものに限る。)を導入している企業割合を10%以上とする

改定案について、より詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。
<第12回過労死等防止対策推進協議会/配布資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209413.html



そもそも「勤務間インターバル制度」とは?

勤務終了後、一定時間以上の休息を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。EU諸国では、終業時刻と翌日の始業時刻との間に、一定の時間以上の休息を与えなければならないという「規制」が設けられています。
日本でも同様の「規制」に向けた土台作りのために、前述の通り、過労死等防止対策大綱の改定案に数値目標が盛り込まれました。

普及を進めるにあたり、中小企業向けの助成金「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」が用意されています。
助成金の対象となる勤務間インターバル制度は、「休息時間数が “9時間以上11時間未満” 又は “11時間以上” の制度」とされています。
助成金を活用しつつ制度導入して従業員の健康的な生活を守り、長い労働時間が原因での離職を減らすことができれば理想的です。
社会保険労務士 大沢富士夫