税理士法人大沢会計事務所

新たな事業承継税制を使いましょう

18.06.06
税務・経営お役立ち情報
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今年の税制改正で事業承継税制について大きな改正がありました。

事業承継税制とは、中小企業の非上場株式について贈与税・相続税を納税猶予、免除する制度です。中小企業のオーナーにとっては利用価値のある制度ですが、今まではその制度の内容から利用をためらう方が多く、あまり活用されていないという実態がありました。

今年の税制改正では、いままでよりも非常に利用しやすく、かつ税額の対象額も増える改正が行われました。

事業承継税制の改正について概要をご説明します。
従来の制度と今年の改正について、大きなポイントを以下でまとめました。


①対象株式が発行済議決権株式総数の全てになる
従来の制度では、発行済議決権総数の3分の2が適用の限度となっていましたが、今回の改正では、発行済株式総数の全てが対象となりました。


②雇用要件の緩和
従来の制度では、贈与又は相続から5年間雇用確保要件を満たさなければ猶予が取り消されることとされていました。雇用確保要件とは、5年平均の従業員数が贈与又は相続時の従業員数の80%を下回らないようにするというものです。今回の改正では、80%を下回った場合でも、認定経営革新等支援機関の意見が記載されている一定の書類を提出することで、引き続き納税猶予が維持されることとなりました。


③相続時の納税猶予対象が100%になる
従来の制度では、相続税の納税猶予の対象となるのは、株式の評価額の80%に対応する相続税額ですが、今回の改正で導入された制度では、株式の評価額の100%に対応する相続税額が猶予対象となりました。
なお、贈与税については従来の制度でも今回の改正で導入された制度でも100%となっています。


今年の税制改正で導入された事業承継税制を適用するためには、平成35年3月31日までに都道府県知事に特例承継計画を提出する必要がありますので、まずは特例承継計画を作成することになります。

次回の大沢会計事務所通信においても新たな事業承継税制について引き続き紹介いたします。

公認会計士・税理士 大沢日出夫
https://www.osawakaikei.jp/