税理士法人大沢会計事務所

副業・兼業の推進?〜「柔軟な働き方」とは?〜

18.02.08
人事・労務お役立ち情報
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平成29年11月半ば過ぎに開催された「第4回柔軟な働き方に関する検討会(厚生労働省)」において、テレワークの適正な実施や副業・兼業の推進などに関するガイドラインの案が示されました。
この中で、特に注目を集めているのは「“副業・兼業”の推進」で、厚生労働省のモデル就業規則の改定の方向性も示されています。
どのような方向性が示されているのか、確認しておきましょう。
<副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)>

副業・兼業の推進の方向性については、次のように示されています。

労働者及び企業のそれぞれのメリットや留意点を踏まえると、自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したいという希望を持つ労働者が、副業・兼業を行える環境を整備することが重要であり、長時間労働を招かないよう留意しつつ、以下の対応が必要である。

① 厚生労働省で示しているモデル就業規則の規定を、労務提供や会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は副業・兼業を認める方向で改めること
② 労働者と企業それぞれの留意点とその対応方法を示すこと
③ 労働者が副業・兼業を実現している好事例を共有していくこと

なお、長時間労働を招かないためには、副業・兼業時の就業時間の把握が不可欠ですが、その把握については「企業が労働者の自己申告に基づいて就業時間を把握し、長時間労働の抑制や健康管理に努める」といった旨の方向性が示されています。



<モデル就業規則の改定の方向性(副業・兼業部分)>

厚生労働省が各企業に向けて同省のホームページにおいて公表しているモデル就業規則について、労働者の遵守事項における副業・兼業に関する規定(「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」)を削除のうえ、以下の規定を新設してはどうかとされています。


第〇条(副業・兼業)
1 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務が、就業規則に規定する一定の事項(遵守事項の一部)に該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。


政府は、人手不足への対応や働き方改革の切り札として、テレワークおよび副業・兼業を推進したい構えです。しかし、各企業の現場からみれば、いずれも、管理が難しい制度で簡単に導入できるものではありません。
検討会においても、有識者委員からさまざまな問題点が指摘されたようで、理想と現実とのギャップをどう埋めていくかが、今後の課題と言えそうです。

社会保険労務士 大沢富士夫