税理士法人大沢会計事務所

試用期間中なら自由に解雇できる??

17.04.06
人事・労務お役立ち情報
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新年度に入って新入社員を迎えた、という職場も多いかと思います。

 

入社後数日で「この新入社員はウチの会社には合わないかも」と感じることがあるかもしれません。

しかし、そんな社員に対して「試用期間だから自由に解雇できる」と考えるのは危険です。

 

そもそも、みなさんの会社では「試用期間」を設けていますか?

「試用期間」は、何のために設けているのですか?

試用期間とは

 

試用期間は、入社後正社員として本採用するまでに、

職業能力や企業適応性等、業務の適格性を見るために設けられた制度です。

 

採用面接では適格性を見抜けなかった、というケースのために設けておいたほうがベターです。

長さは3ヶ月~6ヶ月程度とするのが一般的です。

 

試用期間が法的に有効とされるには、

雇い入れ時に労働契約書などで試用期間としての雇用契約であること

(試用期間の期間、本採用と労働条件が異なるときはその内容)を明示するとともに、

就業規則などで試用期間中の解雇事由を明示しておく必要があります。

 

さらに期間中に適格性を判断できない場合などに備えて、

就業規則には延長の規定も設けておいたほうが良いでしょう。

 



試用期間中の解雇

 

試用期間中の解雇は通常の解雇よりも広い範囲において解雇の事由が認められていますが、

だからといって自由に解雇できるというわけではありません。

 

試用期間中であっても解雇には「客観的に合理的な理由」が必要です。

 

一般的に、次のような項目が解雇事由に該当します。

 

1、無断欠勤や遅刻を繰り返すなど勤怠が悪い

2、正当な理由がなく、上司の指示命令に反抗する、従わない

3、社内秩序を乱すような行為をする

4、職務遂行能力が低く、能力向上jの見込みもない

 

しかし、このような事実だけで十分な理由になるとは限りません。

 

今後雇用しても能力や勤務態度が改善することが難しい、と判断できる事情が必要になります。

 

問題社員がいた場合、まずはその社員に対して、注意・指導を行ってください。

そして、注意・指導を行っても一向に改善がみられないことを書面などで残しておきましょう。

 

就業規則で試用期間の延長が規定されていれば

延長して注意・指導の期間にあてることも効果的です。

 

それでも問題を起こすような社員に対しては、まずは退職勧奨をおこなってください。

 

試用期間中であっても、勤怠不良など客観的な証拠をそろえたうえで、

できるかぎり解雇ではなく任意退職してもらう努力を尽くすことをお勧めします。

 

労働者の権利意識が高まっている今、「解雇問題」は労使トラブルの大きな要因の一つです。

 

解雇をめぐる裁判は莫大なお金がかかる可能性があり、

1つの裁判が会社の命取りになりかねません。

 

できるだけ解雇を回避すべき、という理由は、道徳的な意味合いだけでなく、
解雇裁判が経営的な大問題になりかねないからなのです。


  
社会保険労務士 大沢 富士夫