非上場株式の評価方法が変わる?
先月から国税庁で「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」が開催されました。
非上場株式の税務上の評価方法については、会計検査院からの指摘など、問題があることを国税庁としても認識していたようですが、今回有識者会議として今後の評価方法を検討することになりました。
有識者会議の資料に記載されている主なポイント
1.取引相場のない株式の実態把握
令和5年度の会計検査院による指摘を踏まえて国税庁が令和4年分及び令和5年分の申告データから実態把握を行った結果が記載されています。
会計検査院の指摘を大まかにまとめると以下のとおりです。
・類似業種比準方式による評価額は純資産価額方式による評価額に比べて相当程度低く算定される
・評価会社の規模が大きい区分ほど株式の評価額が相対的に低く算定される傾向がある
・配当還元方式の還元率(10%)により算定される評価額は昭和39年の通達制定当時と比べて相対的に低くなっているおそれがある
※類似業種比準方式…評価対象の株式と事業内容が類似している上場会社の株価を参考にして非上場会社の株価を評価する評価方法
※純資産価額方式…会社の総資産や負債を相続税の評価額に洗い替えし、総資産の価額から負債、法人税等相当額を差し引いた残額により評価する方法
※配当還元方式…その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を10%で還元して元本である株式の価額を評価する方法
2.評価額圧縮スキームとその対応
検査院に指摘された評価方式間の乖離を利用した評価額圧縮スキームが確認されていることを3つの例を挙げて説明しています。
3.取引相場のない株式を取り巻く諸問題
以下のような関係団体等からの意見が記載されています。
・企業価値を高めるほど株価が高くなり、税負担が不相当に増大する可能性がある
・類似業種比準方式については非経常的な損失金額の計上、資産の移転等が恣意的に行われ、会社の収益性や資産性が適正に反映されないおそれがある
・純資産価額方式については、起業の清算を前提とした評価方法であり、継続企業を評価する方式として相応しくない
4.評価の見直しの方向性
以下を基本的な観点として検討することが記載されています。
(1)評価額の「崖」の解消
異なる規模区分の評価会社が発行した株式を取得した者間の株式評価の公平性を確保
(2)評価額の恣意性・操作性の排除
配当・利益、会社規模等の操作などにより株価を圧縮するスキームを排除
(3)実務・学術上の進展を踏まえて「今日的観点」からの見直し
通達制定当時からの金利変動を踏まえ、適正な還元率へ見直し
(4)第三者への事業承継等の動向も踏まえた評価
近年のM&Aによる第三者への事業承継の増加とその際の企業価値評価を踏まえた検討
今後、税務上の評価方法が大きく変わることが予想されます。今後もこのメールマガジンで情報提供を行っていきます。
公認会計士・税理士 大沢日出夫
https://www.osawakaikei.jp/