消費税の還付とは?
消費税の課税事業者は、通常、売上時に顧客等から受け取った消費税から、物の購入や経費等で支払った消費税を差し引いた差額を納める仕組みとなっています。
ただし、場合によって、物の購入や経費等で支払った消費税が売上時に受け取った消費税を上回ることがあり、その差額が還付されることがあります。
消費税は、売上時に受け取った消費税から、仕入れ時などに取引先に支払った消費税を差し引いて計算します。
通常は売上時にかかる消費税の方が多いため、その差額を税務署に納めることになります。
しかし、ケースによっては仕入れ時に支払う消費税の方が多くなることもあります。
具体的な事例の一つが、「設備投資などで多額の課税仕入れを行なった場合」です。
設備投資を行なった場合、多額の課税仕入れが発生するため、還付を受けられる可能性が高くなります。
特に高額な機械や車両を購入した場合、店舗や工場を新築・改築した場合は、還付金額が大きくなる傾向にあります。
こうしたケースの場合、購入費用が高額になることで、支払った消費税額も多くなるため、消費税の申告を行うことで支払った消費税の一部を還付金として受け取ることができることになります。
また、「輸出業を営んでいる場合」も還付金を受け取れるケースが考えられます。
輸出業を営んでいる場合、輸出売上は消費税が免税となるため、売上時に預かる消費税が少なくなります。一方、国内での仕入れ時には消費税を支払っているため、差額の還付を受けられる可能性があります。
たとえば、海外に衣料品を輸出している企業は、輸出売上について消費税が免税となります。しかし、国内で仕入れた原材料や製造にかかる費用については消費税を支払っています。この場合、消費税の申告を行うことで、支払った消費税の一部を還付金として受け取ることができます。
そして、「大幅な赤字となった場合」も還付金を受け取れる可能性があります。
売上が減少して、課税される売上が少なくなる一方で、仕入れの消費税が多い場合は、結果的に消費税の還付が発生することがあります。
消費税の還付をうけられるのは、「消費税の課税事業者」だけです。
課税事業者とは、原則として基準期間(法人の場合は前々事業年度、個人事業主の場合は前々年)における課税売上高が1,000万円を超える事業者を指します。
免税事業者に該当する個人事業主などは還付の対象とはなりませんが、2023年10月からはじまった「インボイス制度」では、免税事業者であっても「適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)」を選択すれば課税事業者になることができます。
また、簡易課税制度を選択している事業者は還付を受けることができません。
簡易課税制度とは、中小企業の納税事務負担を軽減するために設けられた制度で、課税売上高に一定の「みなし仕入率」を乗じて仕入税額を計算するため、納付する消費税のみ発生する仕組みとなっています。
設備投資を行なった場合や、輸出業を営んでいる場合は、還付を受けられるタイミングが資金繰りにも大きく影響しますので消費税の申告状況を確認しましょう。