税理士法人大沢会計事務所

相続税における分譲マンション評価方法

24.05.26
税務・経営お役立ち情報
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今年、令和6年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した「居住用の区分所有財産」(分譲マンション)については、新たに定められた個別通達により評価することとされています。従来の評価方法より複雑になり、かつ従来の評価方法よりも高額に評価される物件が増えることとなります。

1.新たな分譲マンション評価方法の概要
評価額=区分所有権の価額①+敷地利用権の価額②
①従来の区分所有権の価額(家屋の固定資産税評価額)×区分所有補正率
②従来の敷地利用権の価額(路線価方式又は倍率方式による評価額)×区分所有補正率

2.新たな評価方法の適用がないもの
・構造上、主として居住の用とに供することができるもの以外のもの(事業用のテナント物件など)
・区分建物の登記がされていないもの(一棟所有の賃貸マンションなど)
・地階を除く総階数が2以下のもの(総階数2以下の低層の集合住宅など)
・一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室の数が3以下であって、その全てを区分所有者又はその親族の居住の用に供するもの(いわゆる二世帯住宅など)
・たな卸商品等に該当するもの

3.区分所有補正率、評価乖離率、評価水準の計算方法
①評価乖離率
評価乖離率=A+B+C+D+3.220
A…一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
B…一棟の区分所有建物の総階数指数(総階数を33で除した値)×0.239
C…一室の区分所有件等に係る専有部分の所在階×0.018
D…一室の区分所有権当に係る敷地持分狭小度(敷地利用権面積÷専有部分面積)×△1.195

②評価水準
評価水準(評価乖離率の逆数)=1÷評価乖離率

③区分所有補正率
評価水準<0.6の場合…評価乖離率×0.6
0.6≦評価水準≦1の場合…補正なし(従来の評価額のまま)
1<評価水準の場合…評価乖離率

算式の要素を考慮すると従来よりも評価額が高くなる場合は、「築年数が新しい」「建物の総階数が高い」「所有している物件の所在階が高い」「敷地持分狭小度が小さい」(容積率が高い建物)ということになると考えられます。


公認会計士・税理士 大沢日出夫
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