税理士法人大沢会計事務所

令和6年分所得税の定額減税について

24.02.07
税務・経営お役立ち情報
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令和6年度税制改正大綱では、所得税の定額減税が記載されています。実際の法律は3月の国会において成立する予定となっていますが、法案成立に先立って2月5日付で国税庁が「令和6年分所得税の定額減税Q&A」を公表しています。

国税庁が公表したQ&Aに記載された内容からいくつか抜粋致します。

問  定額減税の概要は、どのような制度ですか。
 [A] 
 定額減税の概要は次のとおりです。
1 定額減税の対象者
 定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人です。
2  定額減税の対象となる所得税
 定額減税の対象となる所得税は「令和6年分所得税」です。
3 定額減税額
 定額減税額は、次の金額の合計額です。ただし、その合計額がその人の「令和6年分の所得税額」を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
① 本人(居住者に限ります。) 30,000円
② 同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に限ります。以下「同一生計配偶者等」といいます。) 1人につき30,000円 

問  「扶養親族」とは、どのような人をいうのですか。
 [A]
 「扶養親族」とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人をいいます。
⑴ 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
⑵ 納税者と生計を一にしていること。
⑶ 年間の合計所得金額が48万円以下であること。
⑷ 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。 

問  給与所得に係る定額減税はどのように実施するのですか。 
[A]
 扶養控除等申告書を提出している給与所得者(いわゆる甲欄適用者)については、その主たる給与の支払者のもとで、次により定額減税額の控除が行われます。
① 月次減税…令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等(賞与を含む)に係る源泉徴収税額からの控除(令和6年6月1日において主たる給与の支払を受ける人が対象)
源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額(控除前税額)から月次減税額を控除します。
控除しきれない部分の金額については、以後令和6年中に支払う給与等に係る控除前税額から順次控除します(ただし、年末調整の際には、以下の②によります。)。 
② 年調減税…年末調整時における年調所得税額からの控除
年末調整の対象者で、かつ、令和6年中に支払の確定した給与等を基に年末調整により計算した年調所得税額がある人は、その年調所得税額から年調減税額を控除します。
なお、年調所得税額から年調減税額を控除した後の金額に102.1%を乗じて、復興特別所得税を含めた年調年税額を計算します。

問  定額減税の適用には所得制限があるとのことですが、合計所得金額が1,805万円を超える人についても、主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けるのですか。
[A]
合計所得金額が1,805万円を超える人であっても、主たる給与の支払者のもとでは、令和6年6月以後の各月(日々)において、給与等に係る控除前税額から行う控除(月次減税)の適用を受けることになります。
一方、合計所得金額が1,805万円を超える人については、年末調整の際に年調所得税額から行う控除(年調減税)の適用が受けられませんので、年末調整の際にそれまで控除した額の精算を行うことになりますが、主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象となりませんので、その人は確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算を行うこととなります。 

問  月次減税額を計算するに当たって、基準日在職者から新たに申告書を提出してもらう必要がありますか。 
[A]
 定額減税額の計算に含める同一生計配偶者の有無や扶養親族の人数については、その基準日在職者が既に提出した扶養控除等申告書に基づき把握することになりますので、新たに扶養控除等申告書を再提出してもらう必要はありません。
ただし、扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者(令和6年中の所得金額の見積額が900万円超である基準日在職者の同一生計配偶者)や16歳未満の扶養親族について、月次減税額の計算に含める場合には、基準日在職者は「源泉徴収に係る申告書」を事前に提出する必要があります。 

                       公認会計士・税理士 大沢日出夫
                       https://www.osawakaikei.jp/