士業の森/相続贈与相談センター岩手県支部

気づかぬうちに『名誉毀損』? SNS時代に知っておきたい投稿の落とし穴

26.03.10
ビジネス【法律豆知識】
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SNSは、誰もが気軽に意見を発信できる便利なツールです。
しかし、その手軽さゆえに、思わぬところで他人の名誉や信用を傷つけてしまうリスクも潜んでいます。
「ちょっと悪口を書いただけ」「事実を書いただけ」という軽い気持ちでの投稿が、名誉毀損罪や侮辱罪に問われ、書類送検や逮捕に至るケースも報道されています。
今回は、自分がうっかり『加害者』にならないよう、SNS投稿で気をつけるべき法的なポイントを解説します。

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SNSでの誹謗中傷で問われる罪とは?

SNSでの誹謗中傷では、内容や表現方法によって、いくつかの罪に問われる可能性があります。
最もよく知られているのが「名誉毀損罪」です。
これは、公然と事実を指摘して他人の社会的評価を低下させる行為を指し、3年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金が科せられます。
重要なのは、たとえ事実であっても、名誉毀損罪が成立し得る場合があるという点です。
もっとも、公共の利害に関する事実について、もっぱら公益を図る目的で行われ、真実であることが証明された場合には、違法性が否定されることがあります。

次に、「信用毀損罪」と「偽計業務妨害罪」は、いずれも、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いたりする点が共通しています。
たとえば、「あの店は不衛生だ」といった虚偽の情報を投稿し、店の信用を害した場合などが該当します。
このような場合、信用毀損罪や偽計業務妨害罪として、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。

2022年7月に厳罰化された「侮辱罪」も重要です。
具体的な事実を指摘せずとも、公然と他人を侮辱する行為が対象となり、「バカ」「クズ」といった単純な悪口でも処罰の対象となる場合があります。
改正により、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料という厳しい罰則が設けられました。

「脅迫罪」は、生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪を告知する行為が対象で、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科せられます。

また、ストーカー行為や執拗なメッセージの送信については、各都道府県の迷惑防止条例により違反と判断される可能性があります。

たとえ匿名で投稿したとしても、捜査や法的手続を通じて、発信者情報が開示され、特定に至ることがあります。
実際に、SNSでの投稿をきっかけに書類送検された事件も複数報告されており、匿名性は決して身を守る盾にはならないことが明らかになっています。

投稿前のチェックと被害を受けたときの対応

SNS投稿で気をつけるべき重要なポイントがいくつかあります。
まず理解すべきは、投稿内容が「事実か」「意見か」だけで判断されるのではなく、その人の社会的評価を不当に低下させるかどうかが問題となる点です。
「あの店は最悪」「この会社はブラック」といった投稿も、相手が特定でき、公然性があり、社会的評価を不当に低下させる内容であれば、刑事罰の対象となるリスクがあります。
特に、相手の個人名や職場、学校名を出す投稿は要注意です。
投稿前には「これは誰かを傷つけないか?」「証拠のある事実か?」について、一呼吸おいて見直す習慣をつけましょう。

また、SNSの利用規約だけでなく、刑法や民法が適用される可能性があることを忘れてはなりません。
軽い気持ちでの投稿が、思わぬ法的責任につながることもあるのです。

一方、もし自分が被害者になってしまった場合の対応も知っておくことが大切です。
まずは、ミュートやブロックなどの機能を使って、相手を「見えなくする」ことで精神的な負担を軽減しましょう。
SNS事業者に対しては、誹謗中傷の投稿を削除するよう依頼することができます。
各SNSには通報機能や削除依頼フォームが用意されており、利用規約違反として対応してもらえる可能性があります。
また、一人で抱え込まず、信頼する人や公的な相談窓口に相談することも重要です。
法務省の「人権相談」やSNS各社が設置する相談窓口など、専門的なサポートを受けられる場所が複数あります。

SNSでの発信は便利で自由な反面、法的責任も伴います。
悪意がなくても、他人の名誉や信用を傷つければ、罪に問われることもあります。
加害者にならないためには、投稿前の冷静な自己チェックが何よりも大切です。
SNSは誰もが平等に発信できる場だからこそ、一人ひとりが責任ある行動を心がける必要があるのです。


※本記事の記載内容は、2026年3月現在の法令・情報等に基づいています。