“休憩”も労働時間に含める判決
都内の警備会社に勤めていた男性は、4年前に脳内出血で倒れ、右半身がまひするなどの後遺症が残りましたが、これは「長時間労働が原因だ」として、国に労災の認定を求める裁判を起こしていました。
裁判長は判決で、「休憩中に部屋を離れるときには無線機を持たされ、仕事場の敷地の外に出ることも許されないなど労働を義務づけられていた」と指摘し、こうした休憩を労働時間に含めると、倒れる直前の時間外労働は月100時間を超えるとして、労災と認めました。 労働基準法では、使用者は、労働者に対して、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与える義務を負うとしています。ここでいう『休憩時間』とは、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間をいいます。休憩には労働者の疲労回復はもとより、長時間の労働継続による災害や能率低下を防ぐ目的があるため、労働者には、施設管理の必要や職場規律の維持のために必要な限度での例外を除き、休憩時間の自由利用が保障されています。今回のように、使用者の指揮命令下に置かれた状態は休憩時間とは言えません。 『休憩時間』の正しい認識と併せた長時間労働撲滅への取り組みが、今後さらに使用者には求められるのかもしれません。