社会保険労務士法人杉原事務所

利益率を上げるために! 美容ディーラーと交渉する際のポイント

24.04.30
業種別【美容業】
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多くの美容室は施術に必要な材料や店で販売する用品を仕入れるために、美容ディーラーと取引をしています。
美容ディーラーは店に商品を卸すだけではなく、最新情報の提供や、場合によっては経営のサポートなども行なってくれる非常に頼りになる存在です。
そんな美容室の運営には欠かせない美容ディーラーですが、仕入れに際してはシビアな交渉を行わなければいけないこともあります。
交渉をしたことがない、交渉は苦手というサロンのオーナーに向けて、美容ディーラーと交渉する際のポイントを解説します。
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美容ディーラーの仕入れ値は店により違う

美容室を経営するうえで、気にしなければならないのが『営業利益率』です。
営業利益率とは、売上に対して利益が占める割合のことです。
たとえば1カ月に1,000万円の売上があり、経費を差し引いて残った利益が100万円であれば、営業利益率は10%です。
経営状態がよい美容室の営業利益率は7~10%といわれており、営業利益率が10%であれば経営が順調な店だといえます。
一方で、厚生労働省の公表した『美容業の実態と経営改善の方策(抄)』によると、美容業界は約6割の店が業績不振で、全体の営業利益率は平均して1%を割っているというデータもあります。

低い営業利益率を改善するための方法は、売上を伸ばすか、経費を削減するかの2つしかありません。
この2つのなかで、比較的すぐ取り組めるのが経費の削減です。

経費とは、人件費や家賃、水道光熱費や広告費、そして、材料費などのことです。
材料費とは、シャンプー剤やトリートメント剤、カラー剤やパーマ液、ドライヤーやアイロン、タオルなど、施術や店販に必要な材料や用品を仕入れる費用のことを指します。
そして、これらの材料や用品は、一般的に美容ディーラーから購入します。

しかし、美容室のなかには、美容ディーラーから指定された『言い値』で材料や用品を仕入れている店も少なくありません。
材料や用品は大量生産品なので価格も本来一律のはずですが、実は店によって仕入れ価格には大きなばらつきがあります。
A店が400円で仕入れているものが、B店では700円で仕入れているということもよくある話です。

営業利益率を上げるためには、材料費をはじめとした経費の削減が欠かせません。
その材料費を抑えるためには、美容ディーラーと交渉をして、できるだけ安価で材料や用品を仕入れる必要があります。

交渉に必要な取引材料と最適なタイミング

値引き交渉というとマイナスイメージや苦手意識を持たれる印象がありますが、正当な理由や条件で交渉し、長い取引が続けていけるのであれば、お互いにとってメリットになります。
まずは話を切り出してみることが大切です。
「仕入れ価格についてご相談させてください」と美容ディーラーに声をかけ、こちら側に交渉の意思があることを伝えましょう。

交渉の場では、単純に値下げをお願いするよりも、相手にもメリットのある条件を提示するとスムーズに話が進みます。
たとえば、発注のロット数を増やすという条件であれば、美容ディーラーも値下げをしやすくなります。
すぐに売れてしまう人気商品であれば、小ロットで毎回発注するよりも、まとめて大量に発注することで、お互いの手間が省けるメリットもあります。

また、美容ディーラーにはそれぞれ得意なメーカーがあるので、そのメーカーの商品を多めに仕入れるという条件で値下げを交渉するのも効果的です。
取引する量が多く、関係性の深いメーカーの商品は、美容ディーラーとしても交渉しやすく融通が利くので、多くの卸先に仕入れてほしいはずです。
「おすすめの商品です」と、美容ディーラーから提案してきたときが交渉のチャンスです。

ほかにも、メーカーの商材が切り替わる時期はほかの美容ディーラーに乗り換えられないように値下げに応じてくれる可能性があります。
美容ディーラーへの発注が多くなる繁忙期も、期間限定の割引を打診するなど交渉をするにはよいタイミングです。

さらに、相見積もりを取るのも方法の一つです。
相見積もりとは、複数の候補に見積もりを出してもらい、その中の一番安価な見積もりを交渉の材料にするという方法です。
対象の美容ディーラーに「商材の購入を考えているので、見積もりをいただけますでしょうか」と連絡すれば、各社ともにすぐ見積もりを出してくれます。
相見積もりは商材の仕入れに限らず、改装や内装など外部への発注が必要なものには、取るようにしたほうがよいでしょう。
比較対象があることで、よりよい条件を引き出すことが可能です。

近年は原材料費の高騰などに伴い、美容ディーラーと交渉してもすぐに仕入れ値が下がることは少ないかもしれませんが、簡単に言い値では仕入れないという意思を示すことが何よりも大切です。

また、美容ディーラーはあくまで店の協力者であり、交渉といっても必要以上に厳しい態度で接する必要はありませんし、仕入れ値を下げてもらえないからといってすぐに取引を止める必要もありません。
ビジネスパートナーとしてよい関係を構築し、その関係を維持しながら、好条件を引き出せる交渉を重ねていきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年5月現在の法令・情報等に基づいています。