社会保険労務士法人杉原事務所

雇用調整助成金の特例措置(令和2年5月1日交付分)

20.05.11
助成金情報
5月1日公布☆POINT☆
4月25日に先行して発表されていた雇用調整助成金の特例措置拡大に関して、5月1日に関係省令が公布されました。令和2年4月8日以降の休業等に遡及して適用されます。

5月6日発表☆POINT☆
申請手続きのさらなる簡素化が行われる予定で、小規模事業主(20人以下)、小規模以外事業主に分類した簡略化が予定されています。
<5月1日公布>

(1)中小企業が都道府県知事からの休業要請を受ける等、一定の要件を満たす場合は、休業手当全体の助成率を特例的に100%とします。
 休業等要請を受けた中小企業が解雇等を行わず雇用を維持している場合であって、下記の要件を満たす場合には、休業手当全体の助成率を特例的に100%とします。
   ・新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請により、休業又は営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主であって、これに協力して休業等を行っていること
   ・以下のいずれかに該当する手当を支払っていること
     1.労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っていること
     2.上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っていること(支払率が60%以上の場合に限る)
  ※教育訓練を行わせた場合も同様
(2)(1)に該当しない場合であっても、中小企業が休業手当を支給する際、支払率が60%を超える部分の助成率を特例的に100%とします。
   中小企業が解雇等を行わず雇用を維持し、賃金の60%を超えて休業手当を支給する場合、60%を超える部分に係る助成率を特例的に100%にします。
  ※教育訓練を行わせた場合も同様
    ※ 対象労働者1人1日当たり8,330円が上限です。
 
2.生産指標の比較対象となる月の要件を緩和しました(4月22日~)
 新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、雇用助成助成金の支給に当たって、最近1か月間(計画届を提出する月の前月)の生産指標(※1)と前年同月の生産指標とを比較(※2)することとし、事業所を設置して1年に満たず、前年同月と比較できない事業所については、令和元年12月と比較(※2)できることとしていました。
  今般、これを緩和し、前年同月とは適切な比較ができない場合は、前々年同月との比較や、前年同月から12か月のうち適切な1か月(※3)との比較が可能となりました。
  これにより、令和2年1月以降に設置された雇用保険適用事象所も助成を受けることできるようになります。
   ※1 売上高又は生産量等の事業活動を示す指標
   ※2 生産指標が5%以上減少していることが必要   (休業期間の初日が緊急対応期間外である場合は10%以上の減少が必要)    
   ※3 比較に用いる1か月はその期間を通して雇用保険適用事業所でありかつ当該1か月の期間を通して雇用保険被保険者を雇用している月である必要があります。


<5月6日発表>
雇用調整助成金の申請手続を簡素化し、より申請しやすくするとともに、迅速な支給につなげます。その概要は以下のとおりです。詳細はあらためて公表いたします。
<助成額の算定方法の簡略化>
   雇用調整助成金の助成額の算定方法が難しいとのご意見を踏まえ、以下の簡略化を図ることとします。
  1.小規模の事業主(概ね従業員20人以下)については、「実際の休業手当額」を用いて、助成額を算定できるようにします。
※ 「実際に支払った休業手当額」×「助成率」=「助成額」とします。
  2.小規模の事業主以外の事業主についても、助成額を算定する際に用いる「平均賃金額」の算定方法を大幅に簡素化します。
  (1) 「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて1人当たり平均賃金を算定できることとします。
※ 源泉所得税の納付書における俸給、給料等の「支給額」及び「人員」の数を活用し、1人当たり平均賃金(「支給額」÷「人員」)を算出します。
  (2) 「所定労働日数」を休業実施前の任意の1か月をもとに算定できることとします。
 【参考:現行の「平均賃金額」の算定方法】
   平均賃金額 = A÷B÷C
     A:労働保険料の算定基礎となる「年間賃金総額」      B:前年度における「月平均被保険者数」      C:前年度における「年間所定労働日数」(1人当たり)
※現行では、Aは、労働保険の確定保険料申告書における「保険料算定基礎額」、Bは、同申告書における「雇用保険被保険者数」を用いることとしています。