SNSで急増中! 個人の作成した『勝手広告』への対応策
SNSの爆発的な普及により、企業だけでなく、さまざまな情報が個人によっても発信され、拡散されています。
その流れのなかで、企業が憂慮すべき問題も出てきました。
その一つが「勝手広告」です。
「勝手広告」とは、企業やブランドが一切関知していないところで、ファンや第三者が「勝手」に作成・公開する宣伝コンテンツを指します。
ブランドイメージの毀損や誤情報の拡散にもつながる「勝手広告」の問題点を考えます。
熱意によるものか、自身の利益のためか
「勝手広告」とは、企業やブランドからの正式な依頼や許可、金銭の授受がないにもかかわらず、個人が自主的に作成し、SNSや動画プラットフォームなどで公開する、広告風のコンテンツ全般を指します。
公式の広告とは異なり、企業側がその内容や表現を一切コントロールできない点が最大の特徴です。
この「勝手広告」は、作成者の意図によって、いくつかの種類に分けることができます。
代表的なものとしては、純粋なファンが生み出す勝手広告です。
これは特定の商品やブランドに強い愛着を持つファンが、「この商品の良さをもっと多くの人に知ってほしい」という善意で行うものです。
単なる感想文を超えた魅力的な写真や紹介動画を作成して投稿するため、結果として広告のように見えるケースです。
多くの場合、企業にとっては非常に好意的な内容であり、「熱心なファン」の存在を可視化するものといえます。
一方で、自己のPRや収益化、自己顕示など、自身の利益のために発信する勝手広告も存在します。
代表的なものとしては、公式の広告と誤認させてアフィリエイトリンクへ誘導するために制作するケース、インフルエンサーが『広告案件』を受注できる存在であるとアピールするために勝手に「#PR」をつけるケースなどがあげられます。
ブランドイメージ毀損や誤情報の拡散に注意
勝手広告の問題点はさまざまですが、最も深刻なのは、ブランドイメージの毀損です。
企業が長年かけて築き上げてきたブランドの世界観やメッセージとは異なる、安易な表現や不適切な文脈で商品が紹介された場合、消費者に意図しないイメージを与えてしまう可能性があります。
たとえば、高級感を大切にしているブランドが、面白おかしく、安っぽく扱われることで、ブランド価値そのものが損なわれる危険性があるでしょう。
次に、誤情報の拡散も大きな問題です。
商品の機能や効果、価格、使用方法について、個人の誤解や憶測に基づいた情報が発信されると、それが「事実」として拡散してしまうおそれがあります。
健康食品や化粧品などであれば薬機法、価格や性能の表現であれば景品表示法に抵触するような、法的な問題に発展する可能性もゼロではありません。
消費者が勝手広告を企業の公式な発信と誤認してしまうと、もし、その内容に誤りや不適切な点があった場合、消費者からのクレームや不信感は、勝手広告を作成した個人ではなく、企業本体に向けられることになります。
純粋なファンによる好意的な勝手広告は、企業がコストをかけずに認知を拡大できるチャンスになるかもしれません。
しかし、たとえ好意が根底にあったとしても、企業がコントロールできない情報発信は、常にリスクと表裏一体となります。
企業が講じるべき「勝手広告」への対策
こうした勝手広告に対し、企業はまず状況を正しく把握し、適切に対応することが重要です。
まず、企業のマーケティング担当者は、自社の商品やサービス、ブランドがSNS上でどのように語られているかを把握しておきましょう。
専門のツールを導入するほか、担当者が定期的にSNS上で自社関連のキーワードを検索するエゴサーチを徹底するだけでも、多くの勝手広告の芽を発見できます。
問題が大きくなる前に早期に察知することが、リスク管理の第一歩となります。
次に大切なのは、ガイドラインの策定です。
勝手広告が生まれる背景の一つには、ファンやクリエイターの「表現したい」という欲求があります。
一律にすべて禁止するのではなく、企業として「どこまでなら許容できるか」の明確なルールを示すのも一つの手です。
具体的には、自社のロゴや商標、著作物の利用に関する「二次創作ガイドライン」や「ファンメイドコンテンツに関する指針」などを策定し、公式サイトなどでわかりやすく公開します。
「ロゴの改変禁止」「公式と誤認させない表記」「非商用の範囲に限定」といったルールを明示することで、悪意のない権利侵害を防ぎ、ファンとの健全な関係を築く助けにもなります。
ただし、明らかな誤情報やブランドイメージを著しく毀損する内容、法令違反、悪質な収益化が目的だと判断できる場合は、毅然とした対応が求められます。
DMなどによる投稿者への個別の連絡で使用停止や削除、修正を要請し、応じない場合は、SNSプラットフォームへの削除申請や、プロバイダへの通報を行います。
それでも解決せず、被害が大きい場合には、弁護士など専門家への相談も検討しましょう。
ファンとの健全な関係を築きつつ、自社のブランド価値を損なうものに対しては、ケースバイケースで毅然と対応することが重要になります。
※本記事の記載内容は、2026年1月現在の法令・情報等に基づいています。