割増賃金から在宅勤務手当を除外できる基準とは
厚生労働省から、在宅勤務手当が割増賃金の算定基礎から除外できる基準および計算方法に関する通知が発表されました。
割増賃金の計算基礎となる賃金から除外できるものとしては、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金があります。これらに該当しない賃金は割増賃金の算定基礎に含める必要があります。
今回の通知では、在宅勤務をする従業員に支給される「在宅勤務手当」が割増賃金の算定基礎から除外できる基準が明確化されました。在宅勤務に必要な実費を補填する場合(例:事務用品の購入費、通信費、電気料金など)は、例外的に算定基礎から除外が認められます。ただし、実費弁償として認められるには、就業規則等において実費弁償部分の計算方法を明示している必要があり、その計算方法は在宅勤務時間を踏まえた合理的で客観的なものである必要があります。なお、毎月固定の手当として支払われるなど実費弁償と認められない場合は、賃金として割増賃金の基礎に含まれます。
この通知により、在宅勤務手当を割増賃金の算定から新たに除外する場合、労働者が受け取る割増賃金の額が減少し、労働条件の不利益変更に該当する可能性があります。変更を行う際には、法令等で定められた手続きを遵守し、労使間で十分な話し合いを行う必要があります。
【厚生労働省】割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて