グッドブリッジ税理士法人

自社の市場における立ち位置を示す『競争地位』とは

23.04.11
ビジネス【マーケティング】
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市場規模とは、その事業分野におけるマーケットの大きさを指します。
通信業界や航空業界などの新規参入がむずかしい一部の事業分野を除けば、市場規模に比例して、競合他社の数も多くなるのが一般的です。
競合がひしめく市場において自社の立ち位置を把握しておくことは、経営戦略を立てるうえで非常に重要です。
この立ち位置のことを『競争地位』 といいます。
企業を類型化する競争地位と、そのなかでの自社の立ち位置を理解して、市場における優位性を考えていきましょう。
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保有している経営資源から自社の立ち位置を探る

『競争地位』とは、1980年にアメリカの経営学者であるフィリップ・コトラーが提案した理論です。
コトラーは、企業を市場における4つの競争地位に分類し、それぞれの競争地位に合わせた戦略を取るべきだと主張しました。

市場で大きな力を持つ企業と、市場に新規参入したばかりの企業では、同じ市場で活動する企業同士であっても競争地位が異なるため、取るべき戦略も異なるというのがコトラーの考え方です。
この競争地位ごとに取るべき戦略を『競争地位戦略』と呼びます。

競争地位は、企業が保有している経営資源で決まります。
経営資源には『質的経営資源』と『量的経営資源』があり、どちらも豊富な企業がその市場の『リーダー』に分類されます。
質的経営資源とは、技術力やブランド力、マーケティング力や経営者のリーダーシップなどを指し、量的経営資源は資金や店舗などの販売拠点数、従業員数や工場の生産規模などを指します。

リーダー企業は、その市場における競争地位の頂点です。
質と量の経営資源を兼ね備えたリーダー企業の目標は、市場規模の拡大と、現状のシェアを維持することといえます。
常にナンバー1であり続けなければならない一方で、市場拡大の恩恵を直接受けられるため、競争地位戦略も他社の低価格化戦略に乗らない『非価格戦略』や、豊富な経営資源で他社の差別化戦略を無効にする『同質化戦略』などが中心になります。
どっしりと構えながら、ライバル企業の戦略に対応し、市場規模の拡大に努めるのがリーダー企業の競争地位戦略となります。

また、市場を牽引するリーダーに対し、資金や従業員数などの量的経営資源を豊富に持ちつつも、技術力やブランド力などの質的経営資源がリーダー企業に及ばない企業のことを『チャレンジャー』と呼びます。
チャレンジャー企業は、商品やサービスなどで差別化を図り、市場のトップに君臨するリーダーのシェアを奪うことが基本的な競争地位戦略になります。
そのためチャレンジャー企業は、リーダー企業ができないこと、やっていないことを見つけなくてはいけません。


経営資源の少ない企業が取るべき戦略とは?

チャレンジャー企業とは逆に、資金や従業員数などの量的経営資源は少ないものの、ブランド力や経営者のリーダーシップなどがあり、質的経営資源に優れている企業も存在します。
このような企業は、競争地位のなかで『ニッチャー』に位置づけられます。
ニッチャー企業は、市場に投資できる量的経営資源が少ないため、一部に特化した狭い市場をターゲットにする『集中化戦略』が向いています。

集中化戦略は、リーダーやチャレンジャーが手を出さないニッチな分野を狙うことになるため、企業の専門性や技術が重要です。
専門分野に特化できれば、特定の市場で高いシェアを獲得することも不可能ではないでしょう。

たとえば、コンビニは競争の激しい市場ですが、セイコーマートは北海道を中心に事業展開を行うことで、コンビニ市場におけるニッチャーとして生き残ってきました。
また、ブランド力で特化した企業もあります。
光岡自動車は、大手が圧倒的なシェアを誇る自動車市場において、個性的なデザインと純国産や自社設計・製造へのこだわりで、ファン層を拡大してきました。

ちなみに、質的経営資源と量的経営資源のどちらもほかの企業に比べて少なく、競争地位の下方に位置する企業を『フォロワー』と呼びます。
質・量ともに経営資源が乏しく、ニッチャーのような独自性を発揮できていないので、基本的にはリーダーの模倣を行うのが競争地位戦略になります。

フォロワーはトップ企業の商品と似たような商品を低価格で売り出すことで、シェアの獲得を狙うことになります。
しかし、その過程で独自色の強いオリジナル商品やサービスを生み出すことができれば、ニッチャーになることも不可能ではありません。

戦略を考える際には、まず自社がリーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーのどの競争地位なのか把握することが大切です。
市場における自社の現在地が見えてきたら、競争地位に合わせた戦略を立て、シェア拡大を図っていきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年4月現在の法令・情報等に基づいています。