グッドブリッジ税理士法人

小規模企業共済について

22.05.06
HP記事
dummy

確定申告もようやく終わり、皆様ホッとされている頃でしょうか。

ただ、振り返ってみると少し税金が高かったな、もう少し税金が安くなればいいのに…そう思った経営者の方もいらっしゃったのではないでしょうか?

今回はそのような個人事業主・会社役員の方の強い味方、小規模企業共済についてご紹介させていただきます。

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主の方のための積み立てによる退職金制度です。廃業後や退職後の生活資金として月々1,000円から70,000円まで積み立てることができます。さらに支払った掛金は全額所得控除となり、税金を計算する際に課税対象となる所得を減らすことが出来ます。

また、一定以上掛金を積み立てておけばいざというときに掛金の範囲内で借入をすることもできるため、突発的な出費が必要になった際のセーフティネットの役割も果たします。

 

加入できる方

  • 常時使用する人数が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び会社役員
  • 上記個人事業主が営む事業の経営に携わる個人
  • 事業に従事する組合員20人以下の企業組合の役員
  • 常時使用する従業員が20人以下の協業組合の役員
  • 常時使用する従業員が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  • 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人の士業法人の役員

 

共済金の受け取り方

小規模企業共済の共済金の4つのパターンがあります。

それぞれで受け取れる金額に違いが出てくるので注意が必要です。

 

  • 共済金A … 個人事業を廃業した場合・契約者が死亡した場合
  • 共済金B … 老齢給付(65歳以上)で180か月以上掛金を払い込んだ場合
  • 準共済金 … 個人事業を法人成りした結果、加入資格が無くなり解約する場合
  • 任意解約 … 任意解約・掛金を12か月以上滞納した場合

 

この中で特に注意が必要なのが任意解約した場合で、掛金を240か月以上(20年間分)支払わずに任意解約してしまった場合、それまでに支払った元本を下回ってしまいます。

ここで具体的なシミュレーション例を見ていきましょう。

 

・50歳0カ月の経営者、所得300万円、掛金2万円で始めた場合

<60歳0カ月で受け取る場合※>

・掛金合計額              … ¥2,420,000(納付月数:121カ月)

・共済金A               … ¥2,604,400(実質返戻率:135%)

・共済金B               … 65歳未満、支払期間不足のため受取不可

・準共済金                  … ¥2,420,000

・任意解約                  … ¥2,057,000(返戻率85%)

・年間節税効果           … ¥48,500/年

 

<65歳0カ月で受け取る場合※>

・共済金合計額           … ¥3,620,000(納付月額:181カ月)

・共済金A                  … ¥4,046,800(実質返戻率:140%)

・共済金B                  … ¥3,904,000(実質返戻率:135%)

・準共済金                  … ¥3,620,000

・任意解約                  … ¥3,913,513(返戻率92.5%)

・年間節税効果           … ¥48,500/年

 

※返戻率・節税効果は令和4年4月時点の税制に基づいて計算しています。

 

また共済金等の受取方法は、「一括受取り」、「分割受取り」および「一括受取りと分割受取りの併用」の3種類です。なお、「分割受取り」および「一括受取りと分割受取りの併用」を希望する場合は、以下の要件の全てを満たす必要があります。

  • 共済金Aまたは共済金Bであること
  • 請求事由が共済契約者の死亡でないこと
  • 請求事由が発生した日に60歳以上であること
  • 共済金の額が次のとおりであること
    • 分割受取りの場合:300万円以上
    • 一括受取りと分割受取りの併用の場合:330万円以上(一括で支給を受ける額が30万円以上、分割で支給を受ける額が300万円以上)

 

税法上の取扱い

共済金を受け取った際には税金がかかりますが、受け取る際の年齢や一括又は分割などの受け取り方法で税法上の取り扱いが変わります。

 

・共済金または準共済金を一括で受け取る場合       → 退職所得

・共済金を分割で受け取る場合                                → 公的年金などの雑所得

・共済金を一括・分割併用で受け取る場合              →(一括分)退職所得

(分割分)公的年金などの雑所得

・遺族が共済金を受け取る場合                                →(相続法上)みなし相続財産

・65歳以上の方が任意解約をするまたは65歳以上の共同経営者が任意退任をする場合

→ 退職所得

・65歳未満の方が任意解約をするまたは65歳未満の共同経営者が任意退任をする場合

→ 一時所得

・12か月以上の掛金の未払いによる解約(機構解約)で解約手当金を受け取る場合

→ 一時所得

 

まとめ

小規模企業共済は掛金の全額が所得控除になり経営者の方々には心強い制度です。

受取時に税金がかかるとはいえ退職金、年金は生活資金の確保といった側面があるため税制面で優遇されています。

任意解約した場合、元本割れしてしまうリスクこそありますが、小規模企業共済は増額・減額ができるので途中で掛金が払えなくなるといった事態に陥りにくく、とても続けやすい制度です。

これまで小規模企業共済を知らなかったという方はぜひこの機会にご加入を検討してみてはいかがでしょうか。