グッドブリッジ税理士法人

説明資料にネット画像を使いたい! フリー素材の注意点と利用法

21.06.29
ビジネス【企業法務】
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社内用のプレゼン資料や企画書を作成する際に、説得力を与えるために、イメージ画像やイラストを付け加えることがあります。
これらの画像・イラストを、ネット上で見つけだして、使用している人は少なくありません。
ただ、インターネット上で自由にダウンロードできるものであっても、自分以外の第三者がアップロードした画像やイラストは著作物であり、これを無断で使用するのは著作権の侵害になってしまいます。
そこで今回は、著作権を侵害せずに、プレゼン資料や企画書に画像やイラストを付け加える方法について紹介します。
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ネット上の画像は社内用資料でも使わないほうがよい

現実的には、社内で使用するプレゼン資料や企画書などは、従業員以外の人が閲覧する機会はほとんどありません。
そのため、たとえネット上にあった画像を勝手に利用しても、摘発される可能性は低いといえます。
しかし、著作権の侵害は犯罪であり、著作権法によって罰則が定められています。
もし、著作権や出版権などを侵害してしまった場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられることになり、企業であれば社名に傷がつく事態です。
やはり、社内の資料であっても、第三者が撮影・創作したネット上の画像やイラストは使用するべきではないでしょう。
もちろん、撮影者や作成者の正式な許可を受ければ問題ありませんが、資料用のちょっとした画像にまで許可を取ることを考えると、手間がかかるため、あまり現実的だとはいえません。

もし、ネット上の画像を利用するのであれば、著作権に抵触しないように利用する必要があります。

いくつかの方法のなかでも代表的なものが、いわゆるフリー素材を利用する方法です。
フリー素材とは、『著作権フリー』や、『ロイヤリティフリー』の画像・写真などです。
この2つは、それぞれ違う考え方のもとで運用されているものなので、基本的な知識をおさえる必要があります。

はじめに、著作権フリーの素材とは、著作権の放棄を宣言している著作物のことです。
著作権法では、著作権の放棄を定めてはいませんが、著作者が権利の放棄を宣言していた場合に限り、誰でもその素材を使用できる状態になっていると考えることができます。
過去に著作権の放棄を巡る裁判は起きていませんが、放棄を宣言したにもかかわらず、素材を使用した人に対して差止請求や損害賠償請求を行っても認められないとするのが専門家の主だった考え方です。

著作物には音楽のように実態がなくても、著作者が所有物として専有することのできる知的財産権というものがあります。
著作権の放棄とは、この知的財産権を手放すことです。
著作物に対する著作権を放棄して、知的財産権が消滅した状態のことをパブリックドメインと呼びます。

このほか、権利保護期間が終了した著作物や、著作者の死亡によって知的財産権が誰にも引き継がれなかった著作物などもパブリックドメインとなります。
これも、いわゆる著作権フリーといわれる状態に含まれるものです。
パブリックドメインに帰した著作物は、著作者による制限を受けずに、誰でも自由に使うことができます。

『著作権フリー素材』として流通している画像は、こうした考え方のもとで運用されているのです。


ロイヤリティフリーは無料でも著作権がある

一方で、ロイヤリティフリーの著作物は、著作者が著作権を放棄していないものを指します。
ロイヤリティとは、著作物に対する使用料のことで、通常、第三者の著作物を使用する際には、毎回、ロイヤリティを支払う必要があります。
つまり、ロイヤリティフリーとは、この使用料がかからない著作物であることを意味しているのです。

インターネット上の画像素材サイトの『PIXTA(ピクスタ)』や『Shutterstock(シャッターストック)』などで、無料でダウンロードできる画像は、ほとんどがこのロイヤリティフリー画像です。
最初に、画像の利用権を購入することで、一定範囲での使用が認められたり、素材サイトによっては、広告収入を得るかわりに、無料でロイヤリティフリーの写真を提供したりしているサイトもあります。
いずれにせよ、ロイヤリティフリーの画像・写真は、使用許諾を受けているだけの状態なので、著作権フリーとは異なり、用途に制限が設けられている場合、それを破ることはできません。
サイトの使用許諾契約書や、利用規約をよく読んで、権利に抵触しない範囲での使用を心がけましょう。

資料に写真を使う場合は、基本的にこれらのフリー素材を使用しておけば、法的な問題は起こりにくいといえます。
ただし、なかには著作権フリーとロイヤリティフリーを混同してしまっている素材サイトもあるため、使用する際にはしっかりと条件を確認することが必要です。


※本記事の記載内容は、2021年6月現在の法令・情報等に基づいています。