グッドブリッジ税理士法人

歯科ならではの税務処理のポイントを押さえて税務調査対策

20.09.01
業種別【歯科医業】
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ある日、突然、税務署から税務調査の依頼がきたら、誰もが慌ててしまうでしょう。
特に問題はないはずだと思っていても、帳簿が正しく管理できているのか少々不安になってきます。
しかし、歯科特有の税務の基本をわかっていれば、税理士とのやりとりもスムーズに行えますし、突然の税務調査に慌てる必要もありません。
そこで今回は、歯科クリニック経営者が知っておくべき税務調査の基本的な知識について説明します。
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税務調査の依頼が入りやすいケースとは?

通常の税務調査は任意調査であって、脱税の容疑をかけられて調査される強制調査とは違うため、慌てる必要はありません。
一般的に、税務調査は次のような場合に実施されます。

・開業後一定の期間が経過した場合(個人診療所は約10年に一度、法人では約3年に一度)
・前年と比較して大幅に増益した場合
・過去の経営比率と比較して際立ったものがあった場合
・ほかの歯科医院との比較対象となった場合
・第三者からの情報提供などによって必要だと判断された場合

通常、税務調査が入る前には事前に通知(依頼)がきます。
顧問税理士がいる場合には、顧問税理士に連絡が入ります。
顧問税理士もしくは税務職員との日程調整など、冷静に対応しましょう。


税務調査で発覚しやすい計上漏れとは

次に、歯科クリニックの税務調査で問題になりやすい5つのポイントをご紹介します。
顧問税理士がいるのであればお任せしていても問題ありませんが、自身のクリニックの税務処理について、経営者として医師自身も知っておくとよいでしょう。

(1)自由診療収入
金額の大きい自由診療収入は、調査の際に重視されるポイントです。
インプラント、歯の矯正、ホワイトニングなど治療内容が多岐にわたり、しかも金額が大きいにもかかわらず、月々の保険請求のように精査ができないため税務署が把握しにくい傾向にあるからです。
つまり、税務署がチェックをしたがる要件を多く含んでいるといえます。
たとえば、治療に数百万円かかることもあるインプラントなどは、治療期間も長期になるため、「分割払いの患者さんが支払い困難となり治療を中断した」「一度は中断したが、半年後に治療を再開した」というケースもあります。
そうなると、支払いが済んで領収書を発行したタイミングと、売上の計上を行うタイミングにずれが生じてしまうのです。
その結果、計上漏れが発生しやすくなり、税務署の指摘を受けやすくなります。
税務署は、カルテ、アポイント帳、業者からの納品書などをとことんチェックします。
高額収入の計上漏れがないよう注意しましょう。

(2)金歯などの廃棄金属の雑収入
患者の歯に入っていた金歯などの廃棄金属は、業者に買い取ってもらった場合、その売却代金を収入に計上する必要があります。
ところが、廃棄金属の売買は現金精算であることが多いため、うっかり受け取ったままにしてしまい、計上漏れが生じやすくなるのです。
領収書の控えなどをきちんと整理し、計上漏れがないように注意しましょう。

(3)棚卸在庫
歯科治療にはセメントや接着剤などの材料が必要ですが、経費として計上できる材料費は、実際に治療に利用した分だけです。
使用せず在庫として残っているものは棚卸資産として経費から除外する必要がありますが、歯科技工所に預けている金属などの材料を、在庫として計上し忘れるケースが多くあります。
在庫の管理を怠らず、技工所から送られてくる報告書もしっかりチェックして、経費から差し引く形で申告を行いましょう。

(4)専従者給料や人件費
配偶者や親族に対する給与は、ほかの業種と同じように、歯科業界でも厳しくチェックされます。
確定申告を青色申告で行い、かつ一定の要件を満たせば、家族を青色事業専従者とすることができます。
青色事業専従者給与に関する届出を提出し、その届出の範囲内で給与を支給するとその給与は必要経費として認められます。
事業に専ら従事していれば認められますが、その際も、専従者給与の支給額と業務内容との比較はされます。
また、明らかに仕事をしていない配偶者や親族などは、厳しく追及されます。
架空の人件費計上にならないよう注意しましょう。

(5)交際費
交際費は経費として認められてはいますが、たとえばクリニックの定休日ばかりに飲食費が計上されていれば、「家族との食事代を経費に入れたのではないか?」「相手は誰か? 仕事と関係があるか?」など詳細を追及されます。
飲食費用が個人的支出でないことをしっかり説明できるように、領収書には一緒に行った方の名前や人数等を記入しておくとよいでしょう。

今回は、歯科医師に対する税務調査で特に追及される5つのポイントをご紹介しました。
突然、税務調査の依頼が来ても慌てないように、日頃からしっかりと帳簿を付け、書類の保管をし、経営者である医師自らクリニックの収支を把握しておくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。