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知っておきたい! 会社設立による節税効果とデメリット

20.05.26
ビジネス【税務・会計】
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企業に属さずに事業を行う場合、個人事業主として仕事をする方法もあれば、会社を設立して法人になるという選択肢もあります。
法人化にはさまざまなメリットがありますが、なかでも特によくいわれるのは節税効果で、その内容は非常に多岐にわたります。 
しかし一方で、会社設立には当然コストがかかりますし、社会保険への加入なども必要となります。 
今回は、会社設立における会計上のメリットとデメリットを紹介していきます。
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所得額によっては法人税のほうがお得に

会社を設立するメリットはさまざまあります。
たとえば、『対外的な信用度が高まる』『それによって大きな仕事を得やすくなる』『金融機関からの融資が受けやすくなる』『事業拡大がしやすくなる』などです。
なかでも大きいのが税制面のメリットで、ある程度の稼ぎを出している個人事業主の場合、法人化したほうがお得になるといわれています。
もちろん、個人事業主と法人のどちらが会計上のメリットが大きいかについては、置かれている状況や手がける事業内容によって異なります。

では、法人化による会計上のメリットとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
まずは個人事業主の所得税よりも法人税のほうが納税額が少なくなるというケースを見てみましょう。

法人が納める税金には法人税や法人住民税、法人事業税などがあります。
一方で、個人事業主は所得に応じた所得税を支払わなければなりません。

法人税率は、区分に応じて原則的に一定です。
現在は資本金1億円以下の法人は、所得金額のうち年800万円以下の部分については15%(適用除外事業者は19%)、それを超える部分には23.2%の法人税がかかります。
それに対して個人事業主が支払う所得税は税率5~45%で、所得が増えれば、その分税率も高くなります。
つまり、法人税が一定税率なのに対し、所得税は超過累進税率で課税されることになるため、同じ事業を行っていても、ある一定の売り上げを超えると法人のほうが有利になるわけです。
これが、個人事業主の売り上げが伸びると、法人化を勧められる理由です。


『給与所得控除』により控除額が多くなる

さらに、法人化を行うと、『給与所得控除』が使えるというメリットがあります。
『給与所得控除』とは、給与所得のうち一定額を必要経費として控除できるというもので、控除額は以下のように定められています。
つまり、役員報酬として自身に給与を支払うようにすれば、会社の売り上げから必要経費を控除し、そこからさらに給与所得控除を適用できるということになります。
法人化しても経営者個人には所得税や住民税は課せられますので、その際に控除を適用した額で税金を計算することができます。

<給与所得控除額(2020年分以降)>
〇給与等の収入金額……給与所得控除額
●180万円以下……収入金額×40%-10万円
※55万円に満たない場合には、55万円
●180万円超、360万円以下……収入金額×30%+8万円
●360万円超、660万円以下……収入金額×20%+44万円
●660万円超、850万円以下……収入金額×10%+110万円
●850万円超……195万円

たとえば、法人化したあと、自分への役員報酬として700万円を支給する場合、180万円が給与所得控除額となるわけです。
そして、この700万円から180万円を差し引いた、520万円をもとに経営者個人の所得税や住民税が計算されます。

一方、個人事業主は白色申告なら一切控除はされませんし、青色申告であったとしても最大で65万円しか控除されません。
法人化して役員報酬にすれば、より多くの金額を控除することができるのです。


知っておきたい法人化のデメリット

注意しておきたいのは、役員報酬は企業の株主との委任契約となるため、自由に変更できないということです。
たとえば、役員報酬を高額に設定してしまった場合などです。
会社の業績が悪化しても役員報酬を下げることはできないので、会社に負担をかけながら、そのうえでさらに高い所得税や住民税を支払わなければなりません。
これでは給与所得控除も活かせませんし、節税にもなりません。
役員報酬は会社の今後を見通したうえで慎重に決める必要があります。

また、法人化すると、個人事業主よりも自由に使えるお金が少なくなるのもデメリットの一つです。
経営者といえども、個人のお金と会社の資金は区別されるため、会社のお金を自由に使うことはできません。
自分の会社でありながら、会社からお金を借りる際には、会社と借り入れ契約を結ばなければなりません。

さらに、従業員を雇用する場合には、社会保険料を負担しなければなりませんし、当然、会社設立に関しての登記や定款の作成、資本金など、コストや時間がかかります。
また、会社が赤字であれば法人税はかかりませんが、会社が所在する自治体には、赤字であっても、法人住民税の均等割を支払わなければなりません。
法人住民税の均等割とは、所得額にかかわらず、資本金や従業者数に応じて課税される税金です。

このように、会社を設立すると税制面でメリットも得られると同時に、さまざまなデメリットも発生してきます。
これらを加味して、個人事業主でいくのか、会社を設立して法人として事業を進めていくのかを決めたいところです。


※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。