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法人税の『中間申告』はなぜ行う? その意味と申告方法

20.03.24
ビジネス【税務・会計】
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法人税というと、通常、決算の終了後に支払うというイメージがありますが、一定の条件に該当する法人は年度の中頃に『法人税の中間申告』をしなければいけません。
中間申告をして納税した分の法人税は、年度末に支払う1年間分の法人税額から控除されるので、不当に税金を多く徴収されるわけではありません。
しかし、中間申告があることを念頭に置いておかないと、突然の法人税の支払いで資金繰りに苦慮してしまう可能性もあります。
今回は、中間申告の条件や申告の仕方などを紹介します。
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中間申告の目的・条件・時期

そもそもなぜ中間申告という制度があるのでしょうか。
「決算後にまとめて納税すればいいのでは?」と思う人も多いと思います。

法人税の中間申告は、各法人の納税による負担軽減を目的としています。
確定申告を行ってまとめて納税するよりも、事業年度の中間で一度、税金を納めておくほうが資金繰りのバランスも取れ、経営が安定するという考えのもと、定められています。
いわば決算後に納める法人税の“前払い”だと考えることができます。
中間申告をして納税した額は、確定申告の際にそのままの額が控除されますし、控除し切れなかった際にはその分が還付されます。

中間申告はすべての法人が行うわけではなく、NPO法人や前事業年度の法人税額が20万円以下の法人は免除されます。
逆に、前事業年度の法人税額が20万円を超える普通法人はもれなく行う必要があります。

申告と納税の期限は、事業年度の開始後6カ月を経過した日から2カ月以内となります。
たとえば、3月決算の企業であれば、9月末が中間の決算日となり、11月末までが納付期限。
12月決算の企業であれば、6月末が中間の決算日で8月末が納付期限です。


中間申告の納税額の算出方法とは?

中間申告を行うためには、納税額を算出しなければいけません。
算出するための計算方法は『予定申告』と『仮決算』の二つがあります。
それぞれ見ていきましょう。

●予定申告
予定申告は、『前事業年度の法人税額÷事業年度の月数×6』という式で求めることができます。つまり、多くの場合、前事業年度に支払った1年分の法人税の半分の額ということになります。
ほとんどの企業はこちらの方法で中間申告を行っています。
予定申告の手続きは、基本的には税務署から税額の記載された『予定申告書用紙』が送られてくるので、必要事項を記入し、捺印して税務署に提出します。そのうえで、税金の支払いが済めば、中間申告は完了となります。

●仮決算
その名のとおり、事業年度の中間地点で仮に決算を行ってしまう方法です。
基本的には計算が12カ月分から6カ月分になるだけで、作業内容や手間は本決算と同じです。すべての取引をまとめ、決算書を作成しなければいけません。
非常に手間がかかりますが、一方で、その時点で適正な納税額が算出できるため、『予定申告』よりも納税額が大幅に低くなることもあります。
たとえば、前事業年度が黒字で今事業年度が赤字の場合、『予定申告』では前事業年度の法人税額の半分の額が中間申告として算出されてしまうため、経営状態の苦しいなかで多額の納税を行わなければなりません。しかし、『仮決算』であれば、今期の赤字分をベースとした妥当な額で中間申告を行うことができます。

まとめると、『予定申告』は手続きが簡単というメリットはあるものの、今期が赤字の場合でも前事業年度の法人税額に基づいて納税しなければならないというデメリットがあります。
一方『仮決算』は、今期が赤字の場合は『予定申告』よりも低い納税額で済むというメリットがあるものの、手間がかかり手続きも面倒というデメリットがあるということです。
なお、前年度実績に基づく予定申告による中間税額が10万円以下である場合、または前事業年度の法人税額がない場合及び仮決算による中間税額が前年度実績に基づく予定申告による中間税額を超える場合には、仮決算による中間申告はできないこととされています。

ちなみに、中間申告を行わなかった場合でも、税務署側で自動的に『予定申告』をしたとみなされます。
しっかりと納付の義務が生じますし、中間決算日から2カ月以内に納付しない場合は延滞税がかかってきますので注意してください。

いずれにせよ、前事業年度の法人税額が20万円を超える法人は一様に中間申告を行う必要があります。
資金計画を立てたり資金をプールしたりするなど、準備しておくと安心です。
急な税金の支払いに慌てることがないようにしておきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。