グッドブリッジ税理士法人

どんなときに請求できる? 他人に聞けない離婚慰謝料の話

19.06.11
ビジネス【法律豆知識】
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精神的苦痛を受け、その損害賠償として支払われるお金のことを、『慰謝料』と言います。 
慰謝料が発生する事例はさまざまですが、なかでも、離婚の話し合いで聞くことが多い言葉です。 
もっとも、相手側に何か少しでも不適切といえるような行為があれば、自動的に慰謝料がもらえるかというと、そうではありません。 
「慰謝料が請求できると思っていたのに、詳しく調べてみたらできないとわかった」というケースもあります。 

どのような場合に請求できるのか? 
相場はどのくらいなのか? 
他人にはなかなか聞けない離婚慰謝料のことを、詳しくご説明します。
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請求の根拠によっては認められないことも

夫婦が離婚するとき、どのような場合に慰謝料が請求できるのかを見ていきましょう。

離婚慰謝料は、法律上、離婚を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対する慰謝料と考えられています。
そして、慰謝料請求の根拠事由は、離婚に至る原因となった相手方の一連の行為となりますが、それらの行為のなかで特に明確な離婚原因となった行為があれば、その違法性の程度などが考慮されます。
つまり、離婚慰謝料を請求するには、「自分が精神的苦痛を受けた」というだけでは十分でなく、その精神的苦痛をもたらし、離婚に影響したといえる相手方の行為に“違法性”がなければいけません。

そのため、慰謝料を請求したい根拠が、単なる不仲や性格の不一致というレベルに留まる場合は、離婚に至るまでの相手方の行為が違法とまでは認められず、慰謝料の請求が認められない可能性が高いでしょう。
一方、浮気や不倫などの不貞行為、ドメスティック・バイオレンス(DV)などは違法であることが明らかな事情なので、客観的な証拠があれば、慰謝料を請求できる可能性が高いと言えます。

慰謝料の請求が認められる主なケースは次の通りです。
・浮気や不倫などの不貞行為があった
・パートナーから暴力や暴言(DV)を受けていた
・生活費を渡さないなど、悪意の遺棄があった
・通常の性的交渉を一方的に拒否されていた

反対に、慰謝料の請求が認められない主なケースは次の通りです。
・パートナーに離婚原因の責任がない
・両方が不倫していたなど、夫婦それぞれに離婚原因がある(離婚に至った主な責任が一方にのみあると言えない)
・不仲や性格の不一致など、離婚原因に慰謝料を請求できるほどの違法性が認められない
・不倫をする前から夫婦関係が破綻していたなど、対象となる行為が離婚原因と無関係な場合
・不倫相手からの慰謝料支払いなどにより、すでに損害が補填されている場合


慰謝料の相場は?

では、慰謝料の相場はどれくらいなのでしょうか?

一般的に、慰謝料の相場は100~300万円程度と言われていますが、先述の通り、離婚を余儀なくされたさまざまな事情を考慮して精神的苦痛の度合いが判断されますので、あくまでケースバイケースです。
明確な判断は難しいですが、慰謝料を支払う側、慰謝料を請求する側の双方について、概ね次のような要素を考慮して算出されます。

■慰謝料を支払う側・請求する側に共通する考慮要素
・婚姻期間の長さ
・年齢
・子どもの有無
・親権の有無
・結婚生活で夫婦がどれくらい協力し合ったか
・社会的地位や支払能力の程度

■慰謝料を支払う側の考慮要素
・不倫やDVなど、明確に離婚原因となったといえる行為(有責行為)があるか
・上記有責行為の違法性の程度(頻度、継続期間など)

■慰謝料を請求する側の考慮要素
・離婚によって生じた精神的苦痛の程度
・慰謝料を請求する側にも離婚に至らしめた責任があるか、また、その責任の程度
・慰謝料を請求する側の離婚後の経済的自立の程度、可能性

もっとも、上記のような慰謝料請求の根拠となる事実、精神的苦痛の程度を示す事実については、慰謝料を請求する側が証明しなければなりません。そのため、婚姻・同居中の相手方の有責行為に関する証拠を何らかの形で残しておかなければなりません。
また、慰謝料の請求は、離婚してから3年まで行うことができますが、これを過ぎると請求できなくなります。
パートナーから慰謝料を受け取りたいとお考えの方は、お早めに動くことをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2019年6月現在の法令・情報等に基づいています。