グッドブリッジ税理士法人

1%に集中する

15.08.31
所長の一言
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所長の大橋よりその時々の話題をお届けするコーナーです。      

今回のテーマは 「なにに全力を注ぐ?」にこだわることです。常に、「もしもたったひとつのことしかできないとしたら、自分は今、何をやるのか」ということを、2冊の本から読みといています。

是非、ご一読下さい。

(写真は、毎年恒例となっている富士登山登頂での1枚です)

1%に集中する

 

 仕事、家庭に様々な行事…目まぐるしく日々が過ぎ去り、そうしている間に今年もいよいよ秋を感じさせる季節に入ってきました。そんななか、目に留まった二冊の本。一つは『エッセンシャル思考』という本で2014年の全米ベストセラーになっています。そしてもう一冊は、我々の生活に必需品となってきたSNS〝LINE″を生み出した森川亮元社長の『シンプルに考える』です。実はこの二冊の帯書きがとっても面白く…

(エッセンシャル思考)

 99%の無駄を捨て1%に集中する方法

(シンプルに考える)

 本当に大切な1%に100%集中する

そう、びっくりするくらい似ているのです。ということで、時代を生き抜くヒントが隠されているのではと早速購入してしまった次第です。

 

ここ10年ほどで我々の選択肢は急激に増えました。SNSによってコミュニケーションの手段は多様化し、YouTubeにより世界の隅々までの様子を映像で見られるようになりました。そして、地域からデパートは消えてしまったものの、楽天やAmazonなどのネット販売により様々な商品を購入できる機会を我々に与えてくれています。しかし、このなんでもを可能とする便利な時代は、逆に我々の主体性を奪っているのかもしれません。いつの間にか『選ぶ』をいうことを忘れ、しなければならないことに取り囲まれているような気がします。人生はあまりに短く、限られた時間の使い方をよりいっそう厳密に選ばなければ、すべてが中途半端になってしまいます。不要なものごとに囲まれていては仕事も人生も最高のパフォーマンスを発揮することはできません。

 

エッセンシャル思考

 

この苦境を抜け出すための鍵が、「エッセンシャル思考」です。この思考を身に付けるためには3つの嘘を捨て、3つの真実に置き換えることが必要だといいます。

一、「やらなくては」ではなく「やると決める」

一、「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」

一、「全部できる」ではなく、「何でもできるが全部はやらない」 

人間が一度にできることはひとつだけであり、人生や仕事において結果を出すためには、本質的な要素だけに絞り込み、それに集中することが大切だということです。

 

本当に大切な1%に集中する

~余計なことをやめる~

 両書籍とも、本質的な物事に集中するためには、その環境を生み出すために不要なものを徹底的に排除すべきだといいます。その立場によって本質的な物事(つまり大事にすべきこと)は異なると思いますが、LINEの森川氏はあえて“会社”にとって本質的な物事に限定すると「人々が何を求めているのかを考え、顧客を喜ばせ、社会に価値を提供すること」と定義しています。ではその本質に集中するために、どうのようにして余計なことを切り捨てたらいいのでしょうか?

 

ノーという技術

 

世界一の投資家ウォーレン・バレットは、若いころ、数百の正しい決断をすることは不可能だということを悟り、彼の資産の9割を、絶対に確実だと思われる10種類の投資先にだけ限定し投資したといいます。つまり手を出さないという判断が、その富をもたらしました。つまり、本質的で少数のものだけを選び取り、その他の多くのチャンスにノーをいったのです。努力の量と成果が比例するという考え方を捨て、「ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値である」ということを真実として受け入れ、数限りないチャンスのなかから「これだけは」というものを見つけ出し、本当に重要なことにイエスというために、その他すべてのことにノーといい続けることが必要だといいます。

 

イノベーションを目指さない

~今、この時を生きる~

 

イノベーションを生み出したいというのは、誰もが思うところですが、森川氏は「未来はこうなるという考えでやったサービスはほとんどうまくいかなかった」といいます。それは未来を見すぎて、結局ユーザーを見失ってしまったからです。ユーザーが感じている「目の前」のニーズに愚直に答え続け、ユーザーの価値を極限まで追求した先にイノベーションが生まれるという考え方が大事なようです。エッセンシャル思考でも、「そもそも私たちには今しかなく、未来や過去は想像の中にあるだけで決して触れられない。私たちの行動に何らかの力をもつのは、今ここにおいてだけなのだ」といいます。食事のときは目の前の料理に集中してただゆっくりと食事を楽しむように、今この時に集中して今この時を生きる。もてる力の全てを今というときに賭けてこそ、偉大な成果があがるのです。

 

「より少なく、しかしより良く」「シンプルに」という時代が、すでにその方向に動きだそうとしているのかもしれません。我々にとっては大きなパラダイム(価値観)のシフトになりそうです。