グッドブリッジ税理士法人

人口激減時代の中小企業の選択

15.04.27
所長の一言
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 所長の大橋よりその時々の話題をお届けするコーナーです。

 今回の所長コメントは「人口激減時代の中小企業の選択」です。

 本文でひとつの指数とされている1900年は元号に置き換えると明治33年です。日本が農業中心の国から工業中心の国へ移行していたこの時代、町には路面電車や人力車が行きかい、家庭にはまだ電気やガス・水道などのインフラ整備もされていませんでした。その時代の人口(約4400万人)と今から70数年後の日本の人口がほぼ同じとなるそうです。

 人口縮小をものすごいスピードでつきすすむ日本、これからどう企業の歩みをすすめていけばいいのでしょうか。

 是非、ご一読下さい。

(写真は4/14 秋山木工セミナーにて)

                    人口激減時代の中小企業の選択

  新年度の始まりは桜のシーズンでもありますが、入園・入学、新入社員の受入や人事異動、とどこもバタバタと落ち着かない様子です。今年は天気に恵まれないことも重なり、そうこうしている間に桜の見頃を逸してしまいました。来年はあらかじめ花見の日程を確保しておこうと心に決め、何事もしっかりした計画が必要だという気づきから始まった新年度です。

 

 

人口2/3激減の今後100年 

 人口の減少は誰もが知る周知の事実ですが、これが意味するところは何なのでしょうか。

 先日野村総研のエコノミストの「人口2/3激減時代」と題した講演に参加しました。1900年に約4400万人であった日本の人口はその100年後の2000年に約1.2億人と3倍の人口にまで爆発的に増えました。そしてこれから100年後の2100年、日本の人口は急激に減り続け4900万人にまで縮小します。

 つまり今後100年間で、人口の2/3が減り、1900年とほぼ同じ人口となるのです。100年レンジでの人口動態の話は初めてですが、この人口変動ジェットコースターとも思える真実は衝撃的でした。

 

 

「お客様は減っていく」という時代の経営戦略

~時代の思考の癖からの脱却~

  この人口統計の意味するところは、過去のような右肩上がりの経済は終焉を迎え、お客様は減っていくという前提での経営の舵取りが必要だということです。

 しかし、この舵取りは世界的に見ても過去前例がありません。この大きな人口動態の変化に対応するポインは『時代の思考の癖からの脱却』です。このような大きなパラダイムの変換のなかで、過去と同じ考え方で、過去と同じ仕事を過去と同じやり方でしていたのでは間違いなく時代からは取り残されてしまいます。

 

アクティブシニアの銀脈発見

  国内経済は成熟期を迎え、企業にとっては国内の売上が伸びにくい時代となり、労働者にとっては賃金が上がりにくい時代となってきています。若年層においては、経済力が小さいことに加え、30歳未満金融資産の保有率は全体の僅か7%であり、企業が今までと同じ発想で若い世代の購買をターゲットにするだけではその経営は難しくなります。

 一方、60歳以上の金融資産保有率は64%であり、今後最も人口ボリュームの多い団塊世代は2014年に全員が65歳となりました。つまり、団塊世代が退職期に入ることで、日本に「退職後消費」という新ジャンルが確立することになるのです。団塊世代退職者は、PCもOK、スマホもOKというこれまでの高齢者とは感覚が相当に異なる消費者となります。

 退職ライフとして備えるのは25年とかなり長いですが、そのため単なるモノ消費から、“心配・不安の解消に的確に応える知恵出しサービス”へと、アクティブシニアが満足できる新たな仕様のサービスなどの需要が「銀脈」となる可能性があります。

 

中小企業のチャンスメイキング 

 実はこうした大きな人口動態の変化に一番適しているのが中小企業です。なぜなら規模の小ささは意思決定の速さと大胆さに結びつくからです。大手企業はこの時代の変化についていくにしてもその舵取りに時間がかかってしまいます。

 この人口激減時代において生み出される新市場は、シニア消費以外にも「コンパクトシティ」「労働者不足」など様々です。問題が起こるときこそがビジネスのチャンスと捉え、10年先を見据えて、中小企業が「これまで人口増加でできなかったことが、人口減少時代で実現可能になる」という新しい価値観をもって時代に挑んでいけばまだまだチャンスはひらけるのではないかと思います。

 

  4月14日の秋山木工の秋山社長のセミナーには多くの方にご参加頂きありがとうございました。人材の育成を「天命」とされ尽力されている秋山社長に触れ、礼儀・感謝・尊敬・気配り・謙虚な心…など、昔から日本人が大切にしてきた教えを実践すれば、自然と心が育ち、技術までが一流になるという経営の実践を体感していただけたのではないかと思います。

 今後も皆さんの経営に役立つ情報を発信していきますのでご期待下さい。