グッドブリッジ税理士法人

立春とはいえど・・・

13.02.18
所長の一言
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 2012年1月から所長の大橋より、その時々の話題をお届けするコーナーです。   

 厳しい経済状況が続き、来るべき時代をどう予測すべきなのか本当に難しい判断を迫られる昨今です。経営者をはじめとする読者の方々に、この難局を乗り切るヒントとなるような話題がお伝えできればと思います。(写真はメルマガ新担当瀧川と)

 

立春とはいえど・・・

 

 節分も過ぎいよいよ立春となりました。暦の上では春ということですが、まだまだ寒い日が続いています。私ども税理士業界は個人のお客様の確定申告業務がいよいよ始まり、春の幕開けというよりは大暑を迎えたような気分です。

 

 さて、どの業界でも繁忙期シーズンはありますが、私共にとってもこのシーズンをどうやって時間的な制約の中で乗り越えるか、そしてスムーズにお客様への業務の提供ができるかが毎年の挑戦です。

 個人の目標と事務所全体としての目標を掲げスタートするのですが、昨年は残念ながら一部達成できませんでした。その原因は、事前の準備・業務優先度・スタッフ間のコミュニケーション不足など様々ですが、その教訓を活かして今年こそはと力が入ります。

 個人としての努力もさることながら、チームとしてどれだけスムーズに業務を進められるかが大きなポイントです。個人の部分最適の考え方で業務を進めると、組織全体での重要度の高い業務に支障をきたしますし、配慮にかけた仕事の進め方は周りに大きなストレスをかけてしまいます。

 そのために重要なのは“情報の発信と共有”です。個人として得た改善方法や失敗体験を全体へ発信共有することで、所内における業務ロスを軽減することができますし、事務所全体としての優先業務や個人ごとの業務の量、そして時々の重要事案などが共有されることでスムーズに仕事を進めることができます。

 一人一人の意識の向上でお客様へのスムーズな業務提供をしたいと考えています。

 

 

茹でガエル現象

 

 いきなり熱湯に投げ込まれたカエルは熱くて飛び出すが、徐々に水を温めていくと、変化に気づかずに、そのうちに茹で上がって死んでしまうことを言います。

 

 ユニクロで有名なファーストリテイリングの社長、柳井正氏が去年の暮に出版した「現実を視よ」という本をご紹介したいと思います。

“ゴールドラッシュのアジアに取り残され 稼ぐことを忘れて、国を閉ざす日本人へ”という副題ですが、勃興するアジアの成長にいかに日本が乗り遅れているかを痛感させられます。いまや成長に対する貪欲さを無くした日本はジャンパンナッシングと揶揄され、グローバル社会のなかでのその地位を薄めていきつつあるといいます。

 

 人間はすぐ近くまで危機が迫っていても、実際に痛みを感じないとそれを危機として認識できません。太平洋戦争の敗戦の「失敗の本質」(名著)を説いた野中氏が、バブル以降の日本の衰退を見てもその「失敗の本質」は似ているといいます。“目の前にある現実を視ないで、過去の成功体験にとらわれて変化を嫌う。論理よりも情緒を優先し、観念論に走る”といった特性です。

 世界第二位の経済大国の座を中国に奪われ、国家財政はGDPの二倍の累積債務を抱えた今も、“日本には技術力があるから”まぁ、きっとなんとかなるのだろうという根拠のない観念論で期待をし続けてきた、それが今の「何よりダメな日本」の結果であるといいます。

 

 

人の一生とは志を遂げるためにある

 

 柳井氏は夜就寝する際に、必ず自分の考えをノートにまとめるそうです。自分の仕事を通じて、将来どういう人物になっていきたいか、自分の会社を通じて、この世にどのようなことを実現していきたいのか。そんな柳井氏は「人の一生は志を遂げるためにある。志をもって生きよ」と言っています。一つのことに一生懸命になって、死ぬ気で頑張ることでしか、人は成長できません。そうやってようやく人生の収支はいいところプラスマイナスゼロとなり、少しでも気を抜けばマイナスの人生を送ることになりかねないと。

 

 ではその“志”をどう立てるのか。情報が瞬時に世界を駆け巡るグローバルな時代では、どんな成功の法則もあっという間に陳腐化してしまいます。時代が変化しても普遍的に通用する「考え方」ならあるかもしれない、と柳井氏流の10個のメッセージを発信しています。そのなかから一つご紹介しましょう。

 

『100億売ろうと決めねば、100億売れない』

 

 高い目標を掲げることでこれまでの方法論を完全に捨て去り、過去の小さな成功体験にとらわれすぎないように、というメッセージです。過去に満足することなく、新しいことに挑戦をしていく姿勢をもち、大きな目標を立て、その意義を説いてみんなを鼓舞しながら「全員経営」へと組織を掻き立てなければなりません。

 

 混迷を極める時代ですが、誰かがなんとかしてくれるだろうという受身な姿勢を捨て、人生は一度だけ、高い理想を胸に抱き、その理想の実現のために行動を起こそう、とそんな熱いメッセージも込められた著書です。皆さんも是非ご一読されてみて下さい。

 

 さて、この申告の終わる3月中旬には暦も春分、その頃にはゆっくり春を満喫したいと思います。

 

紹介文献: 柳井正 著(ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)

       「現実を視よ」

        ~ゴールドラッシュのアジアに取り残され 稼ぐことを忘れて、国を閉ざす

         日本人へ  あなたが変われば、未来も変わる~

          平成24年10月 PHP研究所刊行