グッドブリッジ税理士法人

失敗との付き合い方

13.05.27
所長の一言
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所長の大橋より、その時々の話題をお届けするコーナーです。

 5月も下旬に入り、「日経平均株価大暴落」とのニュースが世界をかけめぐりました。

 これからの時代をどう予測し、どう行動していくべきなのか、ますます難しい状況になってまいりました。

 経営者をはじめとする読者の皆様に、この難局を乗り切るヒントとなるような話題がお伝えできればと考えております。

 是非ご一読ください。

失敗との付き合い方

 

 ここ何年も風邪などひいたことのなかった私ですが、先日珍しく風邪をひいてしまいました。市販薬を飲んでいたのですが、いっこうに良くなる兆しがなく、「風邪ごときで病院なんぞ」と思っていましたが、スタッフのすすめもあり内科へ・・・。やはり薬の効き目が違うのかやっと体調も戻ってきました。久々に体調を崩して思うのは、やる気が全く落ちてしまうということです。自己管理も大切な仕事だと改めて痛感した次第です。

 

 さて今月は失敗について少し考えてみたいと思います。経営や人生もそうですが、日々挑戦の連続であるように思います。挑戦を続けていると、どうしても失敗に遭遇してしまいます。そんな時に、ああすればよかった、こうすればよかったと後悔をすることも少なくないですし、あんなことしなければよかったとさえ思う時もあるのではないでしょうか。

  

 最悪なのは、失敗することを恐れ挑戦しなくなってしまう、という負のスパイラルに入ってしまうことです。挑戦をしなければ失敗もしないため、嫌な思いや後悔をしないで済みます。しかも疲れない…。そんなぬるま湯につかっているといつの間にか挑戦をすることを忘れ、失敗がないがゆえに安定した生活をしているような気分になります。こんなスパイラルに入っていたら要注意、これは全くの錯覚です。なぜなら、森羅万象ありとあらゆるものは進化発展を遂げつつある、という自然の法則に逆らうからです。

 人生や経営は、挑戦を繰り返し、その中で失敗と反省を重ね、その経験の積み重ねの結果として成功を見出すことでより良くなっていくのであると思います。

 挑戦を忘れたところから退化が始まることを肝に銘じ、挑戦し続ける気持ちを持ち続けたいものです。

 

 

失敗は挑戦の証

 

 挑戦するということは、裏をかえせば失敗を受け入れるということになります。前にも紹介したスタンフォード大学のティナ・シーリグ氏は、失敗を“その人が挑戦した証”と定義しています。失敗こそがシリコンバレーの強みの源泉であり、“失敗を財産と見られるかどうか”が起業家の生まれる土壌の目安になるといいます。

 

 先頃国民栄誉賞を受賞した松井秀樹選手は、

「プロ野球のバッターは、打率3割を打てば一流と認められます。つまり一流選手でも、7割近くは打ち取られているわけです。他の仕事で成功率3割というわけにはいきません。それぐらいに野球は失敗のスポーツと言えます。」

「過去のことはコントロールできません。しかし未来の自分はコントロールすることができます。前に向かうしかありません。」と失敗をした時の心構えを語っています。

 

 また怪我をしている時には、お父様がよく励ましのFAXをくれたそうです。そこには“人間万事塞翁が馬”と書かれていたそうです。

 つまり、人間にとって何が幸いで何が災いかは表面的な現象だけでは分からない、思い通りに事が運ばずとも、落胆せず前に進むしかない、きっと「この道でよかった」と思える日がくる、と。そして松井選手はその怪我から、“決して一人ではないこと”“周りの人に感謝をすること”を学んだといいます。

 

 松井選手は失敗した時でも「悔しい思いを口に出さない」ことで自身をコントロールするそうです。失敗した時に悔しさを露わにしてしまうと平常心を失い、心が乱れ次のチャンスを捨ててしまうことになるからだそうです。

 

 

松井選手が挑む理由

 

 松井選手が挑む理由とは…。絶対コントロールはできないけど、動かしたいと思うものがあるといいます。それは『人の心』です。

「人の心はコントロールできないが、全力でプレーし続けることで、この世でもっともコントロール不能な『人の心』を動かしたい。「松井も頑張っているのだから、よし、俺もがんばろう」と思ってくれたらこれほどの幸せはない」と。

 自らの「挑む姿勢」を通して、『人の心』を動かしたい。松井選手のこの「心の構え」こそが、挫折や失敗を力に変える原動力となっているようです。

 

 この松井選手の原動力から学ぶものがあります。「人の心を動かしたい」という高邁な志があればこそ、様々な困難に真正面から取り組むことができたのだろうということです。

 とかく現代は、利己的に自分のことばかり考えが偏りがちです。志が小さいがために、小さな挫折や失敗ですぐに心が折れてしまうのではないでしょうか。松井選手のように“世のため人のため”という大きな志を持てばこそ、厳しい挫折と失敗に耐えうる高い精神性が宿るのかもしれません。