グッドブリッジ税理士法人

問題解決のヒントに・・・

12.10.23
所長の一言
dummy
 

 2012年1月から所長の大橋より、その時々の話題をお届けするコーナーです。   

厳しい経済状況が続き、来るべき時代をどう予測すべきなのか本当に難しい判断を迫られる昨今です。経営者をはじめとする読者の方々に、この難局を乗り切るヒントとなるような話題がお伝えできればと思います。

是非ご一読下さい。

 白熱教室というNHK教育テレビジョンの番組をご存知でしょうか?そのシリーズの中にスタンフォード大学のティナ・シーリグ氏というカリスマ的な教授が担当した『スタンフォード白熱教室』という「ブレーンストーミング」を活用して創造性を磨く授業があります。「最悪の家族旅行を考える」というアプローチから今までにない旅行を考えるなど本来人が持っているクリエイティビティをどう高めるのかという、ある意味日本的でないその授業内容に非常に衝撃を覚えた記憶があります。

  そんなティナ・シーリグ氏が執筆した「イン・ジーニアス」という書籍をご紹介したいと思います。

  社会はますます厳しさと複雑さを増し、問題の解決を図るにも過去の経験が通じない時代となってきました。我々は予想もしない問題に直面する機会も少なくありません。では我々はどうやって問題の解決を図るのでしょうか?そう、様々な知識、資源を総動員して“創造性”を発揮してその解決を図っているのです。そんな大切なクリエイティビティですが学校で教わることはめったにないですし、何か魔法的なものだという考え方が強く、そもそもスキルとして身につけられるものとは考えられていないのではないでしょうか。

 

クリエイティビティは高められる

 ではどうやって我々はクリエイティビティを高めることができるのでしょうか?まずは創造性を豊かにするプロセスをご紹介しましょう。

 

①リフレーミングで視点を変える

 「5+5はいくつですか?」この問いの答えはひとつしかありませんが、「何と何を足せば10となりますか?」この問いの答えは無限大です。どちらも単純な足し算の問題ですが、問いの立て方-つまりフレームが違っているのです。アインシュタインは「生死のかかった問いを一時間で解かなければいけないとしたら、最初の55分は問いを考えるのに使う。適切な問いさえ分かれば、5分もかからずに解けるから」と言ったそうです。問いの立て方を学ぶことは答えの幅を広げることであり、想像力を伸ばす上で特に重要です。私たちは自分たちのやり方が唯一正しいと思い込む間違いを犯しています。視点を変えてみたり、他の人の立場に立って問題を捉え直すこと-リフレーミングで幅広い解決策が発見できる可能性がぐんと広がります。自分のフレームを揺るがすためには、まったく違う環境に身を置いてみるのが良いそうです。

 

②ありえない場所にヒントを探す

 アイデアはどこからでも引っ張ってくることができ、いつでも結びつけることができます。人や場所、モノ、アイデアを思いがけない形で結びつけることで想像力は大きく膨らみます。一件関係のない観察結果やパターンを結びつけることで重大な発見に繋がることもあります。普段と違う世界に触れること、既存なアイデアを積み上げていくこと、ありえない場所にヒントを探すことによりこのスキルを鍛えることができるようです。

  また、こうした方法で思いついたアイデアを、ブレーンストーミングを通してよりクリエイティブなものとすることができるのです。

 

 更に、クリエイティビティを左右する環境要因から、これはビジネスに役立つだろうというヒントを二つご紹介したいと思います。

 

①クリエイティビティは制約が好き!

 どんな環境でも制約はつきものです。時間、カネ、場所、人のどれもが揃っていることはないし、競争による制約もあるでしょう。こうした制約があればこそ、想像力は研ぎ澄まされ、イノベーションが生まれます。誰でも時間的な制約があったからこそクリエイティブな成果をあげることができたという経験を持っているのではないでしょうか?この制約をきつくしたり、緩くしたり調整することでクリエイティブなエネルギーを触発してはどうでしょうか。

 

②目的にあったインセンティブを備える。

 スタンフォード大学の学部長は「学部の長というものは、猫に餌付けをするのと同じだ。戦略計画を推進するためには、エサを動かすのも私の仕事だ」といいます。いつか報酬がもらえると分かっていると人は想像力を発揮します。またこまめなフィードバックがその行動に影響を与えるそうです。年に一度の業績評価より頻繁なフィードバックが個人のクリエイティビティを高めるようです。

 

 クリエイティビティは尽きることのない能力です。この能力を引き出すことで、あらゆる面で課題を解決し、チャンスを生み出す力を得ることが可能です。人生に経営に、クリエイティビティをもっと活用してみてはいかがでしょうか。