グッドブリッジ税理士法人

人材の育成

12.04.19
所長の一言
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2012年1月から所長の大橋より、その時々の話題をお届けするコーナーです。

厳しい経済状況が続き、来るべき時代をどう予測すべきなのか本当に難しい判断を迫られる昨今です。経営者をはじめとする読者の方々に、この難局を乗り切るヒントとなるような話題がお伝えできればと思います。

是非ご一読下さい。 

4月初旬に大津(滋賀県)に出掛ける用があり、そのついでに一歩足をのばし「京都 醍醐寺」に行ってきました。1598年春に豊臣秀吉が花見のために桜を植えたことが発祥となり「醍醐の花見」というほど歴史上は有名な花見場所で、遥か平安時代から「花の醍醐」と呼ばれるほどの桜の名所だそうです。私が訪れたその日はちょうど「豊太閤花見行列」の祭典の日で、人でごった返していました。案内してくれた京都出身の新庄さんが一番のお薦めだというその枝垂桜は、霊宝館の庭の奥の方にゆったりと枝を横に広げて咲いていました。花付きも旺盛で、ここにある桜のなかでもこの桜だけは格別の雰囲気を醸し出していました。私もいろいろな桜を見ましたが、ここまで見事な桜を目にしたのは初めてでした。よく見ると数々の添え木がその枝をしっかりと支えています。平安時代から現代までこの境内で多くの手を掛け大事に育まれてきたからこその、この枝ぶりと花付なのでしょう。(掲載した写真は醍醐寺のその枝垂れ桜の前で長男正裕と撮影したものです。)
 
私共の仕事では昨今「事業承継」の問題が取りざたされることが非常に多くなってきました。ほとんどの場合が社長様の高齢化を原因とするものです。この事業承継を解決するスキームは基本的に①親族内における承継、②役員、従業員等への承継、③M&Aの3つの方法に分類されます。①の息子さんなどが事業を承継してくれるケースはまだ良いのですが、事業承継をしてくれる後継者がいないなどのケースも多く見受けられます。そこで②のケースの「従業員に適任者はいないのか?」というテーマがあがるのですが、これまで“従業員を後継者として育てよう”いう取り組みをしてきた経営者の方が、実際に従業員さんに「どうだ会社を引き継いでくれないか?」と聞いてみても「???」という答えしか返ってきません。
 
後継者という問題もそうですが、この厳しい時代において「人材育成」というテーマは経営上での一番大きな課題です。2004年から8年間中日ドラゴンズの監督を務め、そのうち4回のリーグ優勝というめざましい活躍をした落合博満元監督が、著書「采配」のなかで常勝チームの作り方について触れ、チーム作りの基本はリストラではなく「今いる選手をどう鍛えるか」であり、若い選手には「自分を大成させてくれるのは自分しかいない」ということを教えておかなければならない、そして「最高の成果を求めるなら、最上のバックアップを」―目立つ成果を求めるなら、それに見合ったバックアップが必要だと言っています。醍醐寺の枝垂れ桜のように、様々な人のバックアップがなければあの桜は咲かなかっただろうと思うと、人材の育成をする過程で求める成果に対して経営者としてその成長をバックアップできているだろうかと考えさせられます。
 
落合監督はプロの定義について「自ら考え、責任を持って行動し、積極的に教えを乞い、成長しつづける、いわば“自立型人間”のことである」と言っています。会社の人材の育成には長い年月が必要となります。ましてや会社の将来を担う中核人材となればその育成は困難を極めます。会社により求める人材像は様々だとは思いますが、“自立型人間”となる人材を育て、常勝チームの仲間入りをし、なんとかこの時代を乗り切りたいものです。
 
今春から私共事務所に新卒のスタッフの野田が入社を致しました。皆様のお役に立てる“自立型人間”となれるように事務所スタッフ一同で育成をして参ります。皆様からも暖かいご指導を頂けますよう宜しくお願い申し上げます。