年収の壁103万円から160万円に-令和7年度税制改正②
令和7年度税制改正により所得税の「年収の壁」が103万円から160万円に引き上げられます。
今回は前回に続いて「配偶者控除」についてご案内させていただきます。
年収の壁が160万円になったからといって、160万円のお給料を貰ってしまったら配偶者控除を受けることができません。
これは160万円には改正③の基礎控除の上乗せが入っているためです。
これまでの配偶者控除の要件は、
・民法の規定による配偶者であること。(内縁関係の人は該当しない。)
・納税者と生計を一にしていること。
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
・納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること。(ただし900万円を超えると控除額が段階的に減っていきます。)
・「配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下であること。」でした。
つまり給与所得控除55万円+基礎控除48万円=給与収入103万円以下の場合でした。
令和7年度の税制改正では、配偶者控除の要件の1つとして、
「配偶者の年間の合計所得金額が58万円以下」に引き上げられました。
給与所得控除も55万円から65万円に引き上げられていますので、給与所得控除65万円+基礎控除58万円=給与収入123万円以下の場合となります。
前回の160万円はあくまで本人に所得税が課税されない金額です。160万円までのお給料を貰った本人に所得税は課税されませんが、配偶者控除の適用を受けることができなくなります。配偶者控除の適用を受けたい場合には「123万円」が壁となりますのでご注意下さい。
しかし、123万円を超えても配偶者特別控除を受けることができます。
(配偶者の収入と受けられる控除)
これを見てお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、配偶者の給与収入が123万円を超えて160万以下になっても、今度は配偶者特別控除として配偶者控除と同じ38万円の控除を受けられるということになります。
つまり160万円以下までは配偶者控除もしくは配偶者特別控除で38万円の所得控除を受けることができるということになります。
そうなるとこれからは160万円までは働いても大丈夫!と思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、次に検討しなければならないのが「住民税の壁」と「社会保険料の壁」です。
次回詳しくご説明させていただきます。