相続税を賢く減らす! 不動産組み換え戦略による節税対策
不動産を活用した節税対策の一つとして「不動産の組み換え戦略」があります。
この戦略は、所有する不動産を売却し、その資金で別の不動産を取得することで、資産構成を最適化しながら税負担を軽減する手法です。
しかし、税制上の要件や関連するコストを正確に理解しなければ、期待した効果が得られない場合もあります。
今回は、相続税対策としての不動産組み換え戦略に焦点を当て、不動産の組み換えの基本から注意点までを解説します。
不動産組み換えの基本知識と活用方法
不動産組み換え戦略は、相続税評価額を低くしたり、不動産による収益性を向上させたり、税務特例の適用を利用したりすることで、節税効果を高めることを目的としています。
では、不動産の組み換えは、どのように考えていけばよいのでしょうか。
まずは、不動産の評価額に着目します。
評価額が市場価格よりも低い物件を選定することで、相続税の負担を軽減することができます。
2024年以降、タワーマンション節税対策が見直されたことで、新たな評価ルールが定められマンションの高層階の相続税評価額が引き上げられました。
このことで、以前より節税効果は限定的となりましたが、依然として、階層による価格差が大きい物件では、一定の節税効果を期待することができます。
続いて、評価減の特例を活用する方法があります。
不動産の組み換えによって、貸家建付地や小規模宅地等の特例などが適用できる物件を選定することで、土地評価額を減額できる場合があります。
たとえば、小規模宅地等の特例では、居住用や事業用の土地の評価額を最大で80%減額することが可能です。
組み換え戦略を効果的に進める方法と注意点
不動産組み換え戦略を効果的に進めるためには、効果的な不動産選定と、不動産譲渡所得税などを考慮した対策が必要となります。
まず一つ目は、効果的な不動産選定です。
他人に貸し出しをしている賃貸不動産の場合、居住者がいるためその土地や建物を自由に使うことはできないことから、借家権割合として土地や建物の評価額が減額され、相続税対策として有効になります。
古い低収益物件を新しい高収益物件や空室リスクの低い物件に組み換えることで、資産価値の向上と税負担の軽減を両立することができます。
そのほかにも、小規模宅地等の特例の活用や、広大地評価などの方法がありますので、組み換えの目的にあわせて最適な方法を検討するようにしましょう。
そして二つ目は、コストの把握です。
不動産の組み換えには節税効果がある一方で、不動産譲渡所得税や、不動産取得時のコストが発生します。
不動産を売却した場合には、売却益に基づいて不動産譲渡所得税が課されます。
特に10年以上所有するマイホームについては、軽減税率の適用を受けられる「10年超所有軽減税率の特例(正式名称:マイホームを売ったときの軽減税率の特例)」が適用されるケースがあります。
この特例を活用することで税負担を軽減することができます。
また、不動産の組み換えには、不動産取得税や仲介手数料、登録免許税などの費用が必要となるため、これらの費用を把握しておくことも重要です。
不動産の組み換え戦略は、相続税対策として非常に有効ですが、税務リスクや物件選定の失敗が思わぬ負担を招く可能性もあります。
相続税制は頻繁に改正されるため、常に最新情報を把握し、資産状況に合わせた適切な対策を講じる必要があります。
不動産の組み換え戦略を成功させるためには、専門家のアドバイスを活用しながら計画を立てることで、効果的な節税と資産管理を実現することが期待できます。
※本記事の記載内容は、2025年5月現在の法令・情報等に基づいています。