グッドブリッジ税理士法人

集客にも影響! 美容サロンの『バリアフリー化』を考える

24.10.01
業種別【美容業】
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車椅子を利用されているお客にとって、美容室を選ぶ際の大きな基準となるのが『バリアフリー化』の有無です。
高齢者や妊婦、子ども連れのお客にとってもバリアフリー化されているサロンは利用しやすい店舗だといえます。
バリアフリーの美容室は増えてきてはいるものの、まだまだ一般的ではありません。
他店との差別化を図り、集客力を上げるバリアフリー化の具体的な方法について考えてみましょう。

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『バリアフリー化』を進めることのメリット

『バリアフリー』とは、1960年代の欧米で生まれた考え方で、現在ではさまざまな人が社会に参加するうえでの障壁=バリアを取り除くことを意味します。
障壁というと、いわゆる段差や隙間など「物理的な障壁」が思い浮かびますが、それ以外にも、バリアフリーによって取り除かれなければならない障壁はあります。
障害があることを理由に受験や免許の付与が制限される「制度的な障壁」、必要な情報が平等に得られない「情報面の障壁」、人々の差別や偏見、無関心などの「意識上の障壁」などです。

これらのさまざまな障壁=バリアを、どのように取り除いているのか、はじめに「物理的な障壁」の例を中心に紹介していきます。
公共の施設では高い割合でバリアフリー化が済んでおり、たとえば主な鉄道の駅やバスターミナルなどの旅客施設では、93.7%もの段差が解消されており、障害者用トイレの設置も91.8%と、9割を超えています。

一般の大型商業施設などでもバリアフリー化は進んでいますが、一方で小規模の個人店では、なかなかバリアフリー化にまで手が回らないのが現状です。
バリアフリー化された美容室も決して多くはありません。
2022年に国土交通省が実施した調査によると、美容室も含む小規模店舗において、バリアフリーの基準を満たしている建築物の割合は45%という状況でした。

しかし、他店がバリアフリーに対応していないからこそ、店舗のバリアフリー化は大きな武器になり得るでしょう。
車椅子利用者や高齢のお客からの需要に応えられるのはもちろん、社会貢献への意識が高い配慮の行き届いたサロンとしてアピールが可能です。

日本は2007年に65歳以上の高齢者の割合が21%以上を占める超高齢社会に突入し、2040年にはその割合が約35%になるとみられています。
美容室でも将来的に、車椅子利用者や高齢のお客が増えるのは間違いないでしょう。
将来的な需要の増加を見越して、今からバリアフリーに対応した店舗にしておくのも営業戦略の一つです。

施設の改修などによるバリアフリー化

店舗のバリアフリー化でまず考えたいのが、店の出入口の段差の解消です。
車椅子を利用されているお客はもちろん、足腰が弱った方やベビーカーを押しているお客などにとっても段差は大きな障壁となります。
段差を解消するためには、スロープの設置が効果的です。
たとえば、バリアフリー住宅では12cmごとに1cm高くなる1/12の勾配のスロープが望ましいとされています。

また、店内の設備としては、移動式のシャンプー台の導入を検討してみましょう。
訪問介護などの現場でも使われている移動式のシャンプー台があれば、足の不自由なお客がその場から動くことなく、座ったまま施術を受けることができます。
その場でシャンプーを行うことができれば、席の移動に伴う怪我や事故などのリスクも減らすことができます。

美容室の滞在は長時間になりがちなので、車椅子のお客でも利用できるよう、トイレのバリアフリー化も考えておきたいところです。
立ち上がりの負担軽減のための手すりの設置や、滑りづらい床材への張替え、出入口の扉を開けやすい引き戸にするといった改修が考えられます。

その他、物理的な障壁以外の障壁を取り除くための対応として、補助犬への対応や、筆談や指差しシートの導入なども大切な施策となり得ます。
たとえば、店舗の入口に補助犬マークや筆談可のステッカーを貼るなどして、周知を図ってみてはいかがでしょう。
店舗の改修を伴わない取り組みは、コストもかからず、スタッフへの教育だけで進められるというメリットがあります。

このように一口にバリアフリー化といってもさまざまな取り組みがあるため、自身のサロンがどのような障壁に対応できるのかをよく考え、できるところから始めていきましょう。
小規模店舗のバリアフリー化のための改修工事に対しては、補助金や助成金を出している自治体も多いので、まずは市区町村に確認してみることをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2024年10月現在の法令・情報等に基づいています。