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『団体交渉』の申し入れがあったら? 企業がしてはいけないNG行為

24.09.24
ビジネス【労働法】
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労使間で問題が起きた際に、従業員の所属する労働組合から『団体交渉』の申し入れをされることがあります。
団体交渉とは使用者と労働者が同じ立場になって、賃金や解雇、ハラスメントや配置転換など、さまざまな労使間の問題について話し合うことを意味します。
団体交渉は憲法や労働組合法によって労働者の権利として保障されており、使用者側は正当な理由なく、団体交渉の申し入れを拒否できません。
もし、申し入れを拒否したり、無視したりすると、ペナルティを受けることにもなりかねません。
労働組合から団体交渉の申し入れがあった場合に、適切な対応が取れるようにしておきましょう。

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団体交渉は憲法で定められた労働者の権利

労働者が主体となって組織し、労働条件の維持改善や経済的地位の向上などを目指して組織された団体のことを労働組合といいます。
日本国憲法第28条では、労働者が労働組合を結成する「団結権」、労働者が使用者と団体交渉を行う「団体交渉権」、そして、労働者が要求を実現するために団体で行動する「団体行動権(争議権)」という3つの権利を保障しています。
この権利のことをまとめて『労働三権』と呼びます。

憲法は法律や条例などよりも効力が強く、団体交渉権で保障されている通り、労働組合が申し入れた団体交渉を使用者側は拒否できません。
また、労働三権に実効性を持たせるために、一般法として『労働組合法』などが定められており、同法の第7条でも正当な理由なく団体交渉を拒むことを禁止しています。

もし、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否した場合、その拒否自体が『不当労働行為』に該当する可能性があります。
不当労働行為とは、団体交渉の拒否をはじめとした労働組合法で禁止されている使用者側の行為のことで、該当する行為があった場合は、労働組合の申し立てによって、労働委員会から是正するように命令が出されます。
この命令のことを『救済命令』と呼びます。
使用者側はこの救済命令に従う必要がありますし、さらに救済命令を拒否した場合は、50万円以下の過料に処される可能性があります。

場合によっては損害賠償責任を追求されるケースもあり、よくわからないからといって団体交渉の申し入れを放置したり、無視したりしていると、取り返しのつかない状態に陥ってしまう可能性があるので注意が必要です。

なお、団体交渉の申し入れは、企業内の労働組合が行うケースと、外部の労働組合が行うケースがあります。
大企業であれば自社の内部にある『企業内組合』と団体交渉を行うことになりますが、多くの中小企業は社内に労働組合が存在しないため、複数の企業および業種の従業員が所属している外部の『合同労組』と団体交渉を行なっていくことになります。

団体交渉の拒否以外にしてはいけないこと

団体交渉は労働者の権利であり、たとえば、派遣会社の社員や、すでに退職した従業員からの申し入れなどであっても、応じなければいけない場合があります。

一方で、正当な理由があれば、団体交渉を拒否できます。
交渉を行なった末にこれ以上進展が望めないケースや、労働組合側から暴力行為を受けたケースなどは団体交渉を拒否する正当な理由として認められています。
ほかにも、弁護士の参加を拒否されたケースや、子会社の従業員から親会社へ申し入れが行われたケースなどでも団体交渉を拒否することができる場合があります。

また、団体交渉の拒否以外にも使用者側が注意しなければいけない行為があります。
団体交渉の申し入れや組合への加入を理由とする転勤や降格などの不利益な取り扱いは不当労働行為に該当しますし、組合員に対して組合を辞めるように圧力をかける行為も禁止されています。
さらに、労働組合法では使用者である会社側が労働組合に経費などを援助することを認めていません。
たとえ組合側から頼まれたとしても、組合の活動に使用する通信費や備品代などは負担しないようにしましょう。
なお、最小限の広さの事務所の供与や、厚生資金または福利基金に関する寄与などは、経費援助には当たらない場合があるとされています。

社内の会議室などの設備を団体交渉で使うのは問題ありませんが、交渉の時間が長引いたり、交渉がまとまらなかったりする可能性があるため、できるだけ避けるようにしたほうがよいでしょう。
また、外部の合同労組の会議室を指定されても、使用者側は拒否できます。
団体交渉は双方が参加しやすく、平等な立場になって交渉できる場所でなければいけません。
貸し会議室やレンタルスペースなど、できるだけ同一の条件で交渉できる場所を選ぶようにしましょう。

そのほか、交渉のなかでも使用者側が気をつけなければいけないポイントはいくつもあります。
労働組合から団体交渉の申し入れがあれば、まずは労使問題に詳しい専門家などに相談し、適切に準備を進めていくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。