テントゥーワン税理士法人

優秀な人材を確保するために! クリニックの効果的な採用戦略

25.09.30
業種別【医業】
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地域に根差したクリニックでは、質の高い医療を提供し続けるために、優秀な人材の確保が不可欠です。
しかし、慢性的な人手不足のなか、求人を出しても応募が集まらない、採用してもすぐに辞めてしまうといった悩みも多く見られます。
医療従事者には専門的な知識やスキル、患者へのホスピタリティなど、求められる資質が多岐にわたるため、求人広告を出すだけでなく、クリニックの魅力を伝え「ここで働きたい」と思わせる戦略的な採用活動が求められます。
クリニックの発展に欠かせない、優秀なスタッフを確保するための方法を考えます。

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優秀なスタッフが自院のレベルを上げる

クリニックにおいて、診療の質や患者の満足度は、そこで働くスタッフによって大きく左右されます。
どれだけ優れた医療機器を導入しても、医師一人でクリニックの運営は成り立ちません。
受付業務、看護、検査、事務作業など、それぞれの役割を担うスタッフが高い専門性とホスピタリティをもって業務にあたることで、クリニック全体の信頼性が高まります。

患者は、医師だけでなく、受付スタッフや看護師など、院内で接するすべてのスタッフの印象から、そのクリニックのレベルを判断します。
親切で丁寧な接遇は安心感につながり、患者のリピート率を高めますが、逆にスタッフの対応が悪ければ、どれだけよい治療を提供しても、患者の足は遠のいてしまいます。

そのため、クリニックの採用は、どれだけ優秀な人材を確保できるのかが、大きなカギとなります。
一般的なクリニックの採用活動は「募集活動」「書類選考」「面接・採用」「内定・入職」というステップで進んでいきます。
この一連の流れのなかで、特に重要なのが最初の一歩目となる「募集活動」です。
このプロセスをいかに工夫するかが、優秀な人材を獲得できるかどうかの分かれ道となります。

募集要項を工夫し「働きたい」と思ってもらう

では、どのような「募集活動」が優秀な人材の採用につながるのでしょうか。
まず、募集要項で「働きたい」と思わせることが一つのポイントになります。
求人広告は、条件の機械的な羅列ではなく、クリニックの魅力を伝えるための重要なツールです。
給与や勤務時間といった基本的な情報だけでなく、「このクリニックで働くメリット」を明確に伝えましょう。

たとえば、「仲間と支え合いながら働ける職場です」「一人ひとりの患者様に寄り添った接遇を実践できます」「成長をサポートする教育体制が整っています」といった、具体的なクリニックの雰囲気を伝えるメッセージは求職者の心に響きます。
スタッフのインタビューや仕事風景の写真を掲載することも、職場のリアルな様子を伝えることができるため、採用においては効果的です。

また、近年は従来の求人媒体だけでなく、さまざまな採用ツールがあるため、それらをうまく使い分けることで、より多くの人材にリーチできます。
たとえば、InstagramやFacebookなどのSNSで、クリニックの日常やスタッフの様子を発信することは、潜在的な求職者へのアピールになります。
クリニックのホームページに専用の採用ページを設けることで、クリニックの理念や求める人物像を詳しく伝えることができるでしょう。

もちろん、これまで利用していた医療系の転職サイトなども、質の高い人材と出会うための有効な手段といえます。
並行して活用していくことで、より高い効果が期待できます。

応募者を見極めるポイントと支度金制度

採用活動は求職者とのコミュニケーションの場でもあります。
書類選考や面接に至る段階でのスムーズで丁寧な対応が、応募者のエンゲージメントを高めます。

まず、応募者からの連絡に対しては、できるだけ早く返信しましょう。
応募を検討している人は、複数のクリニックの募集要項を同時に見ています。
対応が遅れると、その間にほかのクリニックで採用が決まってしまう可能性があります。

面接でのコミュニケーションも非常に重要です。
面接では、応募者の人柄や価値観が自院に合うかどうかを見極める必要があります。
優秀な人材かどうかは、基礎スキルや専門性はもちろん、医療従事者としての姿勢や働き方への適応性などを確認することで判断できます。
ミスマッチを防ぐためにも、応募者の考え方や将来の目標について、深く掘り下げて質問してみましょう。

優秀な人材は、どのクリニックでも喉から手が出るほど欲しいものです。
特に看護師や医療事務など、特定の職種では人材の争奪戦が起こりがちです。
そのような状況で「支度金制度」の導入は大きなアドバンテージになります。
支度金制度とは、入職の際に一時金を支給する制度で、求職者にとって魅力的なインセンティブとなります。

しかし、支度金はあくまで入職のきっかけに過ぎず、定着を保証するものではありません。
入職後の定着率を高めるためには、働きやすい環境づくりや、やりがいを感じられる職場であることが最も重要です。
優秀な人材を確保するためには、募集要項の工夫や新しい採用ツールの活用、求職者への丁寧な対応はもちろん必要ですが、クリニックが働く人にとって魅力ある職場なのかを常に意識し、改善を怠らないようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2025年10月現在の法令・情報等に基づいています。