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子どもの『予防歯科』に対する保護者の口腔リテラシーを高めるには

25.09.30
業種別【歯科医業】
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日々の歯磨きや食生活を通して、子どもの口腔内の健康を守ることは、保護者の大切な務めの一つです。
しかし、保護者が予防歯科に対する正しい知識や高い口腔リテラシーを持っていなければ、子どもに合った適切な口腔ケアを行うことはできません。
幼い頃からのケアは、子どもの一生涯の健康に大きく影響します。
保護者の知識を増やして、口腔リテラシーを高めるためには、歯科医院が信頼できる情報発信源になる必要があります。
保護者の口腔リテラシーを高め、家族全員で予防歯科に取り組んでもらうためのヒントを解説します。

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口腔リテラシーの子どもへの影響

子どもの歯の健康は、保護者の行動と習慣に強く影響されます。
たとえば、親が毎日の歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯科健診に通っている姿を子どもに見せていれば、それらは子どもにとっての当たり前の習慣となります。
一方、親が歯の健康に関心が薄く、虫歯になってからようやく歯科医院を訪れるような生活を送っていれば、子どもも同じような習慣を身につけてしまう可能性が高いでしょう。

保護者が子どもの予防歯科を意識し、実践することには、さまざまなメリットがあります。
まず、子ども自身のケア意識が向上します。
保護者が「どうして歯磨きが必要なのか」「虫歯になるとどうなるのか」をわかりやすく伝えることで、子どもは歯磨きの意味を理解し、みずから進んでケアを行うようになります。

次に、歯科医院への恐怖心を減らすことができます。
虫歯の治療ではなく、予防のために定期的に歯科医院を訪れることで、子どもは「歯医者さんは痛いことをする場所」ではなく、「歯をきれいに保ってくれる場所」と認識するようになります。
幼少期によいイメージを持てれば、将来にわたって定期検診を継続するモチベーションにもつながるでしょう。

さらに、将来的な子どものQOL(生活の質)向上にも大きく貢献します。
健全な永久歯列は、食事や発音、ひいては見た目にも影響します。
子どもの頃から予防歯科を徹底することで、将来の歯並びの悪化や重度の歯周病リスクを減らし、生涯にわたって健康的で美しい口元を維持できるようになるでしょう。

子どもの予防歯科を習慣化させるタイミング

子どもの口腔ケアは、乳歯が生え始める生後6カ月頃から始めるのが理想的です。
特に乳歯は永久歯よりも柔らかく、虫歯になりやすいため、早期の予防が重要となります。

しかし、予防歯科への取り組みは、成長段階に合わせて変化させていく必要があります。
特に思春期・青年期になると、保護者や歯科医師による口腔内の管理がむずかしくなる傾向にあります。
この時期は、部活動や学業が忙しくなることに加え、食生活が不規則になったり、清涼飲料水やスナック菓子の摂取が増えたりするため、虫歯のリスクが高まります。
また、親からの干渉を嫌がるようになり、自律的なケアが求められるようになりますが、口腔ケアの習慣が身についていないと、一気に口腔環境が悪化してしまうことも少なくありません。

そのため、思春期を迎える前の幼少期から、保護者が主体となって予防歯科を習慣化させておくことが非常に重要です。
幼い頃に身についた習慣は、思春期以降も継続しやすく、子どもの口腔内の健康を生涯にわたって守るための土台となります。

歯科医院できる口腔リテラシー支援

歯科医院は、どのように保護者の口腔リテラシーを高め、家族全体で予防歯科に取り組んでもらうよう働きかければよいのでしょうか。
まずは、カウンセリングと丁寧な説明が欠かせません。
たとえば、親子で治療に訪れた患者に対し、なぜその治療が必要なのか、そして予防の重要性を説明しましょう。
単に「歯磨きをしてください」と伝えるのではなく、「お子さんの歯並びには少し重なっている部分があるので、注意して磨いてあげると虫歯になりにくいですよ」といったように、個々の子どもの口腔内の状態に合わせた具体的なアドバイスをすることで、保護者の関心は格段に高まります。

次に、親子で参加できるイベントやセミナーの開催も効果的です。
歯磨き指導だけでなく、食育も交えた「親子で学ぶ歯の健康教室」などを定期的に開催することで、親子で楽しみながら正しい知識を学ぶことができます。
さらに、ほかの保護者と交流する機会を提供することで、子育ての悩みを共有し、互いにモチベーションを高め合うコミュニティを形成することも可能です。

ほかにも、院内の情報掲示の充実や、WebサイトやSNSの活用など、歯科医院のできることはまだまだあります。
歯科医院は単に虫歯を治すだけでなく、保護者のよきパートナーとして、正しい情報を提供し、家族全体で予防歯科に取り組む文化を育んでいく必要があります。
丁寧なカウンセリングや、親子で参加できるイベントの開催、そしてわかりやすい情報発信を通じて、保護者のリテラシーを高めるための取り組みを積極的に実践していきましょう。


※本記事の記載内容は、2025年10月現在の法令・情報等に基づいています。