目標を達成するためには欠かせない『経営計画』の基礎と重要性
『経営計画』とは、会社の将来的な目標やビジョンを明確にし、組織の成長を促すうえで欠かせないものです。
しかし、なかには「なんとなく日々の業務をこなしている」「現状維持で問題ない」と考えている経営者も少なくありません。
経営計画は企業における『羅針盤』のような役割を果たすもので、もし策定していないと、経営に迷いが生じることにもなります。
経営計画がなぜ必要なのか、その基礎や重要性などを解説します。
何のために計画を策定するのか理解しておく
経営計画とは、企業が将来の目標やビジョンを達成するために、「何を」「いつまでに」「どのように行うか」を具体的に定めた計画のことです。
経営計画があることで、企業は目指すべき方向性を明確にし、組織全体が一丸となって目標達成に取り組むことができます。
ただし、客観的なデータ分析と市場動向の把握に基づき、実行可能な計画として策定されなければいけません。
そのためには、経営計画を策定する意味をしっかりと理解しておきましょう。
経営計画は、主に「補助金の申請」や「業績の向上」などのために策定します。
中小企業庁が外部に委託した小規模事業者へのアンケート調査によれば、「補助金申請で必要となったから」や「業績を向上させたいから」という回答が約6割を占めました。
たとえば、販路開拓や業務効率化のための経費を一部補助する「小規模事業者持続化補助金」の申請には、直近の確定申告書や事業支援計画書などのほかに、経営計画書を用意する必要があります。
また、業績の向上にも、目標達成に向けた進捗状況を定期的に確認し、評価するための基準となる経営計画が欠かせません。
計画と実績を比較することで、問題点や改善点が見えてくるため、PDCAサイクルを効果的に回し、継続的な改善を促すことができます。
同時に、経営計画は企業の限られた資源を、最も効果的な分野に集中させるための指針にもなります。
無駄な投資や重複した業務を排除することで、経営効率を高めることになり、結果として業績の向上につなげることができます。
経営計画を策定するメリットと種類
経営計画を策定することによって、多くのメリットが得られます。
将来の見通しが明確になるため、経営者は不確実な状況下でも自信を持って意思決定を行うことができます。
経営判断が必要な場面では、経営計画が判断の軸となるため、適切な意思決定が可能となり、場当たり的な対応を減らせます。
経営計画があることで、予期せぬ事態にも冷静かつ迅速に対処することができるでしょう。
また、組織全体のベクトルが揃い、従業員一人ひとりが自身の役割を理解し、目標達成に向けて主体的に行動するようになります。
従業員のエンゲージメントも高まり、生産性の向上にもつながります。
さらに、金融機関や投資家に対して、明確な事業計画と成長戦略を示せるため、資金調達を円滑に進めることが可能になります。
実際に、企業が金融機関から融資を受ける際には、経営計画が必要になります。
日常的な運転資金といった短期融資の場合、簡易な計画で済むケースもありますが、一般的に新事業や店舗展開のための資金の借入や、立て直しの資金を求めるときは、詳細な経営計画を求められます。
経営計画がしっかりしていれば、融資の審査がスムーズになり、よりよい条件で借りられる可能性も高まるでしょう。
経営計画には、その期間や対象範囲によって、「長期」「中期」「短期」といった種類があります。
長期経営計画は、5年以上の比較的長い期間を対象とし、企業の基本的なビジョンや戦略、目指すべき方向性を示すものです。
中期経営計画は、3~5年程度を対象とし、長期経営計画で示された方向性を具体的に落とし込み、数値目標や具体的な事業プランを設定します。
短期経営計画(年度計画)は、1年間の具体的な行動計画を示すもので、中期経営計画の達成に向けた具体的なステップや、短期的な業績目標などを示します。
ほかにも、特定の事業やプロジェクトに焦点を当てた事業計画や、企業内の各部門がそれぞれの目標達成のために策定する部門別計画などがあり、これらの計画は相互に関連し合いながら、組織の全体的な目標達成に役立ちます。
経営計画は、企業の成長段階や外部環境の変化など、さまざまなタイミングで求められます。
戦略的な思考に基づいた綿密な計画は、企業が生き残り、成長していくための強力な武器となります。
まだ経営計画を策定していない、もしくは既存の計画が現状に合わなくなってきたと感じているのであれば、明確な目標と戦略に基づいた自社ならではの経営計画の策定に取り組んでみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。