社会保険労務士法人レイナアラ

2026年10月以降に順次発効!『最低賃金』決定の流れと傾向を分析

26.10.27
ビジネス【労働法】
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毎年秋になると、企業は最低賃金改定への対応を迫られます。
2026年度も全国各地で最低賃金の引上げが行われ、新しい時給額での給与計算が必要になります。
最低賃金は法律上のルールというだけでなく、採用活動や従業員の定着率、企業の事業計画に直結する要素です。
2026年10月以降に順次発効する新しい最低賃金の具体的な動向を整理すると同時に、どのようにしてこの金額が決定されるのか、そして近年の傾向から企業がどのような対策を講じるべきかについて解説します。

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最低賃金の基礎と金額が決まるまでの流れ

最低賃金とは、最低賃金法という法律に基づき、使用者が労働者に対して必ず支払わなければならない賃金の最低額を指します。
正社員や契約社員、アルバイト、パートタイムなど、雇用形態にかかわらず、原則としてすべての労働者に適用されます。
もし、この金額を下回る賃金しか支払っていなかった場合は法律違反となり、不足分をさかのぼって支払う義務が生じるだけでなく、罰則が科される可能性もあります。
なお、最低賃金の計算には、時間外・休日・深夜の割増賃金や、通勤手当、精皆勤手当、ボーナス、「家族手当」と「臨時に支払われる賃金(結婚手当など)」などは含まれません。
そのため、基本給など、最低賃金の対象となる賃金だけで、基準を満たしているかを正確に確認する必要があります。
なお、最低賃金には、産業や職種に関係なく都道府県内のすべての労働者に適用される「地域別最低賃金」と、特定の産業ごとに設定される「特定最低賃金(産業別最低賃金)」の2種類があります。
特定最低賃金は、地域別最低賃金を上回る額で設定されます。
ただし、地域別最低賃金の改定で逆転した場合は、額の高いほうが適用されるため、対象業種の企業は注意が必要です。
今回は、主に地域別最低賃金について解説していきます。

毎年改定される最低賃金ですが、どのようなプロセスを経て決まるのでしょうか。
基本的には例年7月下旬から8月上旬ごろに、厚生労働省に設けられた「中央最低賃金審議会」が、全国の都道府県を経済状況などに応じてA、B、Cの3ランクに分け、引上げ額の目安を発表します。
この目安を一つの基準としながら、各都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が地域の実情をふまえて審議・答申を行い、異議申出に関する手続を経て、都道府県労働局長が最終的な改定額を決定します。
このように、最低賃金は国が全体の方向性を示し、地域ごとの事情を考慮して決定する仕組みとなっています。

2026年度の引上げ状況と適用される時期

2026年度の地域別最低賃金は、9月3日に47都道府県すべての改定額の答申が出そろいました。
2026年度の全国加重平均額は1,177円で、前年度から56円引き上げられました。
今回、引上げ額が最も高かったのは佐賀県の65円で、国が示した目安を9円上回りました。
改定額で見てみると、全国で最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円という結果になりました。
特にアルバイトやパートタイム従業員を多く雇用している企業にとって、数十円の時給アップでも、会社全体では人件費の大幅な増加につながるため、金額の動向は注視しておく必要があります。

改定された新しい最低賃金が実際に適用される「発効日」については、多くの地域が10月中に設定されていますが、なかには11月に発効する地域もあります。
熊本県と岩手県は12月1日に、沖縄県は12月2日に発効が予定されています。

近年の傾向分析と企業側が取り組むべき対応

近年の傾向として、地方が国の目安以上に最低賃金を引き上げようとする動きがあります。
2026年度の改定でも、33府県で中央最低賃金審議会が示した引上げ額の目安を上回りました。
ただし、昨年度は最大で18円の上乗せがあったことに比べると、上乗せの幅自体は縮小しています。

地方における引上げの背景には、都市部との賃金格差を少しでも縮め、地元から若い働き手が流出するのを防ぎたいという狙いがあります。
一方、上乗せ幅が昨年度より縮小した背景には、物価高や原材料費の高騰などにより、地方の中小企業で人件費の負担感が増していることもあると考えられます。

こうした状況下で、企業側は法律を守るためだけの対応にとどまらず、中長期的な視点での対策を講じる必要があります。
現在の従業員の給与が新しい最低賃金を下回っていないか、まずは対象外の手当を除外して正しく計算し直しましょう。

そのうえで、賃上げの原資を確保するため、これまでの業務フローを見直し、生産性を向上させる取り組みが必要になります。
国の業務改善助成金や自治体独自の支援制度などを上手に活用しながら、無理のない範囲で計画的に従業員の待遇改善を進めていくことが大切です。

毎年のように行われる最低賃金の引上げは、企業にとって人件費の増加をもたらす一方で、従業員の生活を安定させ、働く意欲を高める前向きな側面もあります。
全国的に時給水準が上がり、人材獲得競争が激しさを増すなかで、コスト増というマイナス面だけではなく、自社の働き方や業務効率を見直すよい機会としてとらえることが重要です。
まずは各都道府県の新しい金額と時期を確認し、給与計算でのミスが起きないよう、準備を整えましょう。


※本記事の記載内容は、2026年10月現在の法令・情報等に基づいています。