『キャリアプラン』の見直しを支援してGW明けの退職を防ぐ
ゴールディンウィーク(GW)をはじめとした長期休暇は、従業員が自身のキャリアや働き方について、あらためて考えるよい機会です。
しかし、明確なキャリアプランがない、キャリアプランがあってもその内容が曖昧といった場合は、次第に現状への不満や将来への不安が募り、退職につながるケースもあります。
変化の激しい現代社会では、キャリアに対する価値観も多様化し、従来型のキャリアプランだけでは将来が見通せない状況が生じています。
GW明けの退職を防ぐためにも、企業が従業員のキャリアプランの見直しを支援することの重要性と、その具体的な方法を解説します。
GW明けの退職者増加理由とキャリアプラン
GW明けには退職が増えるといわれています。
退職代行サービス会社が行なった調査では、新卒社員の早期退職者数はGW明けがピークだというデータがありますし、人材派遣会社によるアンケート調査では、連休明けに「仕事を辞めたい」と感じたことがある人が全体の半数近くにものぼったという報告もあります。
長期休暇明けに退職者が増える要因はさまざまですが、その一つとして、休暇中に自身の将来について考えることで、キャリアに対する不安や焦りが生まれるというものがあります。
特に、キャリアの停滞を感じている人や将来の目標が見えない人は、不安が大きくなりやすくなるでしょう。
明確なキャリアプランがないと、従業員は「この会社で働く意味は何だろうか」「自分の成長につながる仕事ができているのだろうか」といった疑問を抱きやすくなり、その状態が続くと、モチベーションが低下し、最終的には退職する道を選択してしまいます。
キャリアプランは従業員が自身のキャリアを主体的に考え、目標を達成するための道筋を示すために必要なものです。
従来の「会社に尽くす」という価値観よりも、現代の「自分の成長や自己実現を重視する」という価値観が優先される社会のなかでは、従業員みずからが考えたキャリアプランが重要になってきました。
モチベーション向上や将来への安心感、成長機会の明確化などのためには、明確なキャリアプランが欠かせません。
しかし、自己分析や目標設定のむずかしさなどから、従業員が一人でキャリアプランを作成するのは困難を伴います。
キャリアプランには、外部の視点や具体的なフィードバックが必要です。
企業がキャリアプランの見直しを支援することで、従業員はより現実的で効果的なキャリアプランを作成できるようになります。
会社側のメリットと具体的な支援の方法
会社が従業員のキャリアプランの見直しを支援することは、従業員だけでなく会社にとっても大きなメリットがあります。
目標に向かって働く従業員が増えることで、組織全体の生産性向上や活性化にもなり、会社へのエンゲージメントが高まることで、定着率の向上にもつながります。
GW明けの退職に不安を抱えているのであれば、人材の定着という面において、キャリアプランを支援することをおすすめします。
では、具体的にどのような方法で従業員のキャリアプラン見直しを支援していけばよいのでしょうか?
まずは、人事の担当者や上司が従業員と「キャリア面談」を実施し、現状のキャリアプランや課題、将来の目標などを共有することが大切です。
キャリア面談では、従業員の希望や適性、価値観などを丁寧にヒアリングし、具体的なキャリアプランを共に考えていきましょう。
キャリア面談の結果は、従業員の成長計画や配置転換などにも活用できます。
また、研修を実施するのも、一つの方法です。
キャリアプランの作成や見直しに関する研修を実施することで、従業員には自己分析の方法やキャリア目標の設定方法、キャリアプランの実現方法などを学んでもらいます。
あくまで主体となるのは従業員本人で、企業側はサポートに回らなければいけません。
研修後には、従業員が自身のキャリアプランを作成し、担当者や上司との面談で共有する機会を設けます。
さらに、キャリアプランの見直しを支援できる制度を導入するという方法もあります。
たとえば、若手社員に対して、経験豊富な社員がメンターとして相談に乗る「メンター制度」は、キャリアに関する悩みや不安を聞き、アドバイスや情報を提供できる制度です。
メンター制度は、若手社員の成長をサポートするだけでなく、メンター自身の成長にもつながるでしょう。
ほかにも、定期的に上司や担当者が1対1で面談し、部下の成長を促しキャリアの方向性を確認する「1on1ミーティング」や、新しいポジションに希望する従業員がみずから応募できる「ジョブポスティング制度」、新しいスキルを身につけてもらうための「リスキリング制度」なども、従業員のキャリアプランの支援につながります。
いずれにせよ、会社側のサポート体制が整っていなければ、必要な支援ができません。
従業員のキャリアプランを支援することで、会社としても定着率向上や生産性向上、組織活性化など、さまざまなメリットが得られます。
まずは、自社ではどういったキャリアプランの支援が可能なのか、確認してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2025年3月現在の法令・情報等に基づいています。