税理士法人加藤会計事務所

肩書をふりかざしても、部下はついてこない[スポーツの視点からみる人的資源]

13.12.01
ビジネス【人的資源】
dummy
中学や高校の部活動で、
「顧問の先生に反論できなかった」
という方は少なくないだろう。

自分なりに考えたプレーだったとしても、
先生に否定されたら言い返すのを躊躇したはずだ。

「先生の機嫌を損ねたら、
試合で使ってもらえないかもしれない」という危惧が、
不条理と思える指摘でも受け入れることにつながっている。
dummy
プロスポーツでも同じような状況は起こり得る。

試合に出なければ報酬を得られないだけに、
選手たちは監督に従順であろうとする。

しかし、立場を越えた意見交換の
できないチームはトラブルに弱い。

スポーツのチームなら監督が選手の、
会社なら上司が部下の意見を吸い上げるのは、
組織を円滑に運営されるために不可欠だ。

上司に部下の意見を受け入れる準備があっても、
過去の実績が部下を身構えされることもある。

組織の立て直しとしてやり手の上司がやってくると、
部下はどうしても遠慮がちになるものだ。

サッカーJ1リーグの名古屋グランパスを率いる
ドラガン・ストイコビッチ監督は、
一見すると近寄りがたい雰囲気を漂わせる。

現役時代に世界的なプレーヤーとして名を馳せた彼は、
サッカー界のセレブリティである。

ところが、選手たちは彼の人間性に魅せられていく。
実績や肩書をふりかざさないからだ。

「監督と選手の間には、リスペクトがなければならない。
それは勝手に生まれるものではなく、
日頃の触れあいが培う信頼や信用によってついてくる。
選手によって性格は違うから、接し方は変えなければならない。
選手からの意見はもちろん受け入れるし、
質問に対する答えは相手を納得させられるものであるべきだ。
選手と私がお互いを理解していることが、
このチームの力の源になっている」
そして、ストイコビッチはこう言うのだ。

ノー・リスペクト、ノー・リザルト、ノー・ワーキング
──互いを思いやる気持ちがなければ、結果はつかめない。
いい仕事はできない、と。

21世紀型のリーダーには、
聖域なき意見交換を受け入れる懐の深さが求められるのだ。


次回のスポーツの視点からみる人的資源は
「2013年を象徴するリーダーとは?」をお届けします。

[プロフィール]
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。

スポーツの視点からみる人的資源

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)