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ビジネスは“アイディア勝負”。広告界が育ててきた「発想法」に学ぼう。その2

16.11.11
ビジネス【マーケティング】
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前回に次いで、広告界で古典的名著として知られる『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング著)をもとに、発想法についてご紹介していきましょう。
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ヤングはこの本の中で、アイディア開発の「5つの段階」について述べています。「5つの段階」とは次の通りです。 

(1)資料集め 
(2)心の中でこれらの資料に手を加える 
(3)孵化段階 
(4)アイディアの実際上の誕生 
(5)最終的にアイディアを具体化し展開させる段階

まず、(1)資料集めについて説明します。資料には、特殊資料と一般資料の2種類がある、とヤングは述べています。

特殊資料とは「製品」と「売りたいと想定する人々について」の資料です。

例えば、あなたのお店で今まで扱っていなかったドーナツを販売することにしたと仮定すると、「ドーナツについて」と「ターゲットである20代の女性について」徹底的に調べた資料となります。

そして、一般資料とは、人間全般についての知見、世の中の動きについての知見といった資料になります。

アイディアとは、製品と消費者に関する「特殊知識」と、人生とこの世の種々様々な出来事についての「一般的知識」との、新しい組み合わせから生まれてくるのです。 

しかし、今日のアイディア出しの現場では、この資料集めの段階を無視していることが多いのです。

体系的に資料集めをする代わりに、ただ座りながら霊感が訪れてきてくれるのを期待している人もいます。

いかがでしょうか。ちょっと耳の痛い方もいるかもしれませんね。 

次に、(2)心の中でこれらの資料に手を加えることです。

これは、集めた資料を咀嚼(そしゃく)する段階に当たります。ちょうど食べ物をかみ砕いて消化しようとするようなプロセスです。 

この段階で探しているのは「関係」です。ジグソーパズルのようにすべてがきちんと組み合わされて、まとまるように資料を組み立てていきます。

ヤングいわく、この段階では、意味を探すというのではなく、意味の声に耳を傾けるというようなもの、だそうです。

そうしているうちに、ちょっとした、仮の部分的なアイディアが訪れてきます。

それらを紙に記入しておくことが重要です。どんなにとっぴなアイディアでも、あるいは不完全なアイディアでも、一切気に留めないで書き留めておきましょう。

これらのアイディアの「素」みたいなものは、今後生まれてくる本当のアイディアの前兆であり、言葉に書き表わしておくことによって、アイディア作成過程が前進するのです。 

ヤングはまた、「いずれ疲れて嫌気がさしてくる。どうかあまり早く嫌気をおこさないようにしてほしい」と、この(2)の段階で粘りの大切さにも言及しています。 

この段階で、例えばプロのコピーライターであれば、100本くらいは普通にコピーの「素」のようなものを書き連ねます。

「こんな切り口はないか」「あんな方向性はないか」「女子高生の語り口にしたらどうだろう」「少し理屈っぽく語ってみるか」など、粘りに粘るのが常となります。 

ヤングも指摘しているように、重要なのはとにかく「紙に書き留めておくこと」です。

頭の中にあるアイディアの素は、考えるそばから雲散霧消してしまいます。

しかし、紙に書き留め、言葉に書き表しておけば、自分自身でその書き留められた言葉を見ることで、さらにアイディアが深まり、進んで行くのです。 

そして、(3)孵化段階。この孵化段階では、いったん「問題をまったく放棄」して、音楽を聴いたり映画に出かけたりしろ、とヤングは述べています。

面白いですね。

次回は『ビジネスは“アイディア勝負”。広告界が育ててきた「発想法」に学ぼう。その3』で、孵化段階から詳しく紹介していきたいと思います。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法  


●プロフィール● 
佐藤達郎 さとうたつろう 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。


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