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ビジネスは“アイディア勝負”。広告界が育ててきた「発想法」に学ぼう。その1

16.10.14
ビジネス【マーケティング】
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広告代理店が広告主に提供するものとは、いったい何でしょうか?

さまざまなものがありますが、キーワードで言えば、それは“アイデア”であり“発想”です。

具体的には、キャッチフレーズ、テレビCM案、イベント企画などになります。

それらはどれも、広告主には思いつかないような“アイデア”や“発想”に基づいたものである場合でこそ価値を生むのです。

そのため、広告代理店業界は長年にわたり、アイデアの作り方や発想法を磨いてきました。 

一方で、変化の激しい現在、皆さんがかかわっているビジネスでも、従来のやり方を繰り返すのではなく、新しいことにチャレンジし“アイデア”で勝負する必要が増大しているのではないでしょうか。 

そこで今回からは、広告界が育ててきた“発想の技”について、ご紹介していきましょう。
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“発想の技”における広告業界で最も有名な本に『アイデアのつくり方』があります。

大手広告代理店常任最高顧問やアメリカ広告代理業協会会長などを務めたジェームス・W・ヤングさんが書いた本で、翻訳が出たのは1988年という古典的名著です。 

この本の中で最も知られているフレーズは、「アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」です。 

現在でもこの法則は十分に通用されます。

例えば、最近の大ヒットアプリ「ポケモンGO」も、すでに存在していたイングレスという位置情報ゲーム(それ単体では大きなヒットにはなっていませんでした)と、だいぶ以前からあるポケモンという、2つの“既存の要素”を “新しく組み合わせる”ことによって生まれています。 

しかし、優れたアイディアというのは、一般的な感覚として「独創的で、誰も考えたことのないもので、天才的なひらめきによって天から降ってくる」といったイメージがあります。

アイディアが出ないとウンウンうなって、ひたすら降りてくるのを待つ、というような感じです。 

ヤングはそういったイメージを明確に「いや、そうじゃない」と否定しています。

アイディアは既存の要素の組み合わせに過ぎず、なんら神秘的なものではなく、決まったプロセスがあり、誰にでも手にすることができるものだ、というわけです。

どうですか? なんだか勇気づけられませんか。 

常に新しいアイディアを求められる広告マン・広告ウーマンにとって、これほど勇気の出る言葉はありません。

この書は「ひょっとして自分には才能がないんじゃないか」と不調時に悩む多くの広告マン・広告ウーマンの救いになったのです。 

ヤングは続けます。アイディアが作り出すためには“心を訓練する”べきであり、アイディアの源泉にある原理を把握する方法を学ぶべきだ、と。

さらにヤングは、アイディア開発を「5つの段階」にわけられると述べていきます。次回はこの「5つの段階」の内容について、ご紹介していきましょう。 

次回は『ビジネスは“アイディア勝負”。広告界が育ててきた「発想法」に学ぼう。その2』です。 


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法  


●プロフィール● 
佐藤達郎 さとうたつろう 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。


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