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従業員の不満から発生! ストライキが起きた際に気をつけたいこと

23.10.24
ビジネス【企業法務】
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ストライキとは、労働組合が企業に対して、賃上げや労働条件の改善などの要求を通すために、労働を拒否して圧力をかけることをいいます。
通常、企業側は従業員の意見や要望を汲み上げ、窓口となる労働組合との交渉で、従業員の不満の解消を図りますが、すべての交渉がうまくまとまるわけではありません。
もし、ストライキが起きてしまったら、企業側はどのような対応を取ればいいのでしょうか。
対抗措置や防止策など、企業が知っておきたいストライキの基礎を説明します。
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ストライキは労働者に認められた正当な権利

労働者が団結して労働組合を結成する権利を『団結権』、労働者が使用者と団体交渉を行う権利を『団体交渉権』、労働者が労働条件の改善のために団体で行動する権利を『団体行動権』といいます。
この3つは、『労働三権』と呼ばれ、憲法第28条で保障された労働者の権利です。

団体行動権では、労働組合が要求の実現や抗議などのために、企業側に圧力をかける行為も認められています。
この集団で圧力をかける行為のことを『争議行為』といいます。

争議行為の代表的な行為がストライキで、ほかにも、自社製品の不買を消費者に訴える「ボイコット」や、故意に業務の質や量を低下させる「サボタージュ」なども争議行為に含まれます。
ちなみに、「サボる」という言葉は、サボタージュが語源であるといわれています。

ボイコットやサボタージュが、働きながら企業側に圧力をかけるのに対し、ストライキは労働を拒否することで圧力をかけていきます。
ストライキが行われた企業は、期間中は業務が止まってしまうため、業績が悪化する可能性があります。
また、世間的にも「ストライキが起きるほど問題のある企業」とみなされ、取引の停止や企業イメージの低下などを招くこともあるかもしれません。
しかし、ストライキによってダメージを与えられたからといって、企業側は労働組合に損害賠償請求を行うことはできません。

労働三権を具体的に保障するための『労働組合法』では、正当な争議行為に刑事罰を科すことができない『刑事免責』、正当な争議行為によって損害が生じても損害賠償請求ができない『民事免責』を定めています。
つまり、正しく行われているストライキに関しては、刑事的にも民事的にも労働者は責任を負うことがないということです。
さらに、刑事免責と民事免責に加え、正当な争議行為を行った労働者に対して、解雇や減給などの懲戒処分を課す不利益取扱いも禁止されているので注意が必要です。

もし自社でストライキが起きたらどうする?

2023年8月31日、大手デパートのそごう・西武の売却をめぐって、親会社のセブン&アイ・ホールディングスに反発する労働組合が西武池袋本店でストライキを行いました。
大手デパートでは約60年ぶりとなったストライキですが、かつては日常的にさまざまな業界でストライキが行われていました。
1970年代には、私鉄や国鉄などのストライキが相次ぎ、何日にもわったて交通マヒが続くこともありました。

しかし、1974年に5,000件以上あったストライキは、2022年にはわずか33件となっています。
日本では労使協議の定着や、労働組合に加入しない労働者の増加などにより、ストライキは減少傾向にあります。

一方で、もし自社でストライキが起きた場合は、どのような対応を取るべきでしょうか。
ストライキが起きたら、まず労使の双方が労働委員会または都道府県知事に争議行為発生届を提出し、団体交渉を継続させながら、労働組合との合意を目指すことになります。

労働基準法24条にも定められた『ノーワーク・ノーペイの原則』によって、ストライキの期間中は賃金を支払う必要はありません。
しかし、ストライキ参加者以外の従業員に対する賃金の支払いについては、たとえストライキで業務が停止していたとしても、個々のケースで検討する必要があります。

また、ストライキは法律に基づく正当なものでなければならず、たとえばストライキに伴い労働者が会社の設備を壊したり、オフィスを不当に占拠したりした場合などは、損害賠償請求や解雇、懲戒などを行うことが可能です。

ストライキは団体交渉が難航した場合の手段であり、そのベースとなるのは労働者側の不満の蓄積です。
ストライキを防ぐためには、同業他社と比較して適正な賃金や労働条件、公平な人事管理になるような見直しを行い、労働者との交渉を尽くすことが重要です。


※本記事の記載内容は、2023年10月現在の法令・情報等に基づいています。