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低リスクで開業できる⁉ 自宅で飲食店を開くための条件と注意点

23.10.03
業種別【飲食業】
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飲食店を開業する際に一番の障壁となるのは、店舗用物件の確保です。
物件を用意できたとしても、貸店舗であれば、毎月のように固定費がかかってしまいます。
しかし、自宅の空いているスペースを活用して飲食店を開くことができれば、新たに物件を確保する必要がなく、賃料といった固定費もかかりません。
自宅を利用した飲食店の開業には、こうしたコスト面以外にもさまざまなメリットがありますが、一方で、事前準備やリスクへの備えなどが必要になります。
今回は、自宅で飲食店を開業するためのポイントについて解説します。
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飲食店を自宅で始めるメリットとデメリット

自宅で飲食店を開業するメリットとして一番に挙げられるのは、いきなり貸店舗で飲食店を開業した場合と比較すると、低コストと低リスクで始められるということです。
飲食店の開業にかかる費用は、立地や業態などによっても大きく異なりますが、平均して1,000万円程度といわれています。
開業費用のうち、物件の取得費や内外装工事費など、店舗に対して発生する費用は、全体の約5割を占めることが多いようです。
もし、自宅で飲食店を開業することができれば、店舗に対して関わる一部の費用を抑えることができるというわけです。

将来的に貸店舗での経営を考えているのであれば、自宅での開業を通じて、飲食店を経営するノウハウを得たり、経験を積んだりすることもできます。
ほかにも、会社に勤めながら週末だけオープンするなど副業として始められる点や、店舗に通わなくてよいという点などが、自宅で飲食店を経営するメリットとして考えられます。

このように利点の多い自宅での飲食店経営ですが、デメリットがないわけではありません。
たとえば、自宅が住宅街にある場合などは、駅前や商業地に比べて集客に苦戦したり、騒音や異臭、害虫などの発生によって近隣トラブルに発展したりする可能性もあります。
近隣住民からのクレームが相次げば、営業を続けることはむずかしくなるでしょう。
住居用の物件であるため、駐車場を確保しづらいという課題や、自宅に不特定多数の人が出入りするため防犯上の問題も発生します。

自宅で飲食店を経営する場合、近隣住民の理解を得る必要があることや、食品廃棄物について厳格なルールを決める、居住スペースに入られないようにするといった相応の対策が必要になり、そのための手間や費用がかかることも理解しておきましょう。

必要になる資格や満たすべき施設基準

自宅での飲食店経営は、貸店舗で開業するのと比較して、失敗しても撤退が容易なため、低コスト・低リスクで始められるといわれています。
しかし、実際に開業するまでにはさまざまな事前準備や確認が必要です。

最初に確認しておきたいのは、自宅の用途地域です。
用途地域とは、都市計画に基づき、その土地に建てられる建物の種類や用途などを定めたルールのことです。
たとえば、自宅が『第一種低層住居専用地域』に該当している場合は「兼用住宅で、店舗床面積(非住宅部分)が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のみ可」など、制限を受けることがあります。
逆に、自宅の用途地域が準住居地域や商業地域、工業地域の場合などは、店舗と住宅の行き来が可能な『店舗兼用住宅』であれば、制限なく自宅と飲食店を兼用することができます。
ただし、店舗と住宅の行き来ができない『店舗併用住宅』には、建築制限があります。
また、自宅が保護対象施設といわれる学校や病院の近くにある場合は、スナックやパブといった風俗営業1号許可が必要な店は開業できないおそれがあるため、注意が必要です。

次に、各自治体から食品衛生法に基づく営業許可を得なければなりません。
もし、営業許可を得ずに無許可で営業すると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金の一方または両方が科されることがあります。

営業許可を得た証となる営業許可証は、自宅の所在地を管轄する保健所に営業許可を申請し、保健所の立会検査に合格すれば発行されます。
営業許可証にはいくつか種類があり、提供する料理や業態によって必要になる営業許可証は異なります。
カフェやラーメン店、食堂など、ほぼすべての飲食店を経営するうえで必要になるのは、『飲食店営業許可証』です。
飲食店営業許可証を取得するためには、食品衛生責任者を置き、施設基準を満たしている必要があります。
食品衛生責任者は、調理師や栄養士などの資格を保持していなくても、資格者養成講習会を受講することで取得できるので、今後のためにも受講しておくことをおすすめします。
一方、施設基準は手洗設備や照明設備、換気設備や洗浄設備、床・内壁・天井などに対し、細かく定められています。
自治体によって基準が異なる場合があるので、確認しておきましょう。

大切なのは営業許可証を申請する前に一度、保健所に相談することです。
自宅で飲食店を開業する場合は、施設基準を満たすための改装工事などが必要になる場合がほとんどです。
保健所に内装工事用の図面などを見てもらい、自宅での開業に際して問題ないか、事前に確認しておくとよいでしょう。

飲食店の経営を考えている場合、可能であればまず自宅で開業することでコスト面やリスク面などを軽減することができます。
しかしデメリットもあるので、飲食店の開業は営業体系を熟考したうえでしっかりとした経営計画を立て検討しましょう。


※本記事の記載内容は、2023年10月現在の法令・情報等に基づいています。