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新築時の伝統『地鎮祭』を行う前に決めておきたいこと

23.07.04
業種別【建設業】
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日本には建築工事や土木工事にまつわるさまざまな儀式があります。
その一つが『地鎮祭』です。
地鎮祭とは、工事に着手する際にその土地の神様をお祀りし、神様を鎮めて工事の無事を祈願する儀式です。
通常は神主を招いた神式で行われることが多いですが、仏式やキリスト教式の地鎮祭もあり、最近では略式化したものや、自分で地鎮祭を行うセルフ式の形も増えてきています。
神主への謝礼や事前に用意すべき品など、地鎮祭を行ううえで事業者が知っておきたいポイントについて解説します。
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地鎮祭を行うかどうかは施主が判断する

地鎮祭は日本最古の歴史書『日本書紀』にも記述がある建築儀礼で、江戸時代後半から建築技術の向上と共に庶民の間にも普及していきました。
現在でも大規模な工事の際は必ずといってよいほど地鎮祭が行われますが、個人用の住宅を建てる場合など、施主の判断によっては地鎮祭を行わないケースもあります。
施主が遠方に住んでいたり予算の問題があったりと、地鎮祭を行わない理由はさまざまです。

施主によっては、本音では地鎮祭を行わなくてよいと思いつつも、しなければ後悔するかもと思ったり、周囲や身内の目を考えるとすべきなのではと悩んだり、さまざまな理由で迷っている人もいます。
そういった施主から相談を受けたときに、地鎮祭は神主を現場に呼んで行う方法だけでなく、略式で行うものや、神主を招かずに行う方法などもあると提案できるとよいでしょう。

まず、施主から一般的な地鎮祭を行いたいと要望を受けたら、施工会社はその土地を守る氏神様を祀る神社に依頼します。
近年は、氏神神社ではなく、工事現場に近い神社に依頼するケースもあるようです。
地鎮祭は神主のスケジュールも関係するので、着工の1カ月くらい前には依頼の連絡をしておきましょう。

施工会社は施主と地鎮祭の日時や参加人数、神主の送迎や謝礼の金額などを打ち合わせで決めておく必要があります。
日時に関しては、縁起がよいとされる大安・先勝・友引の午前中に行なうのが一般的です。
参加者は施主と神主のほかに、施工会社から設計者や棟梁、現場監督などの関係者が参加します。

また、神主に渡す謝礼のことを『初穂料』や『玉串料』といい、そういった神主への謝礼は原則として施主が用意します。
ほかにも、地鎮祭の後に神様のお供えやお神酒を食する『直会』や、参加者に渡す祝儀などのお金を準備する場合もあります。

施主と施工会社がそれぞれ用意するもの

地鎮祭の儀式で使用する三方や祭壇などは神社が用意してくれますが、施主や施工会社がそれぞれ用意しなければならないものもあります。

一般的に、施主はお供え物の米・酒・塩・水のほかにも、海の幸・野菜・果物を3種ずつ用意します。
施工会社は、湯呑み・半紙・注連縄・笹竹・盛り砂のほか、クワやスコップ、テントやイスなどを用意します。

また、地鎮祭のための整地や準備などは施工会社の役割です。
神社側が祭場の向きや祭典用具の配置などを教えてくれるので、指示に従いましょう。
地鎮祭当日も、神主の指示に従えば問題はありません。

地鎮祭が終わるといよいよ工事が始まります。
工事が始まると、騒音や工事車両の出入りなどで近所に迷惑をかける可能性があるため、地鎮祭終了後に、工事エリアに面している家を中心に、近所への挨拶回りを行うことをおすすめします。

ちなみに略式やセルフ式で行う地鎮祭の方法も、いくつかあります。
略式の地鎮祭の場合は、神主を現地に招くのではなく、建築予定地の土を持ってこちらから神社に出向き祈祷をしてもらい、その土を持ちかえって元の場所に戻すといった方法などが多くとられています。
略式の地鎮祭を希望する施主のために、あらかじめ略式地鎮祭に対応可能な神社を調べておくとよいでしょう。

また、神社に頼まずに施主が自分で行うセルフ式の場合は、お米と清酒、粗塩を準備し、土地の四隅と中心に準備したものを順に撒いていき、最後に土地の中心でお祈りします。
こちらもセルフ式を希望する施主のために、必要な品物や手順をまとめた書類などを用意してくと親切かもしれません。

このように、地鎮祭は地域や神社、施主の考えによって段取りや流れが異なります。
施行会社としても、これから施主がその地に長く住んでいくことを考え、施主が希望する地鎮祭に対応できる準備をしておくことをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2023年7月現在の法令・情報等に基づいています。