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労働紛争の『個別あっせん』とは? トラブルを素早く解決する方法

21.09.28
ビジネス【労働法】
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使用者と労働者では立場が異なるため、労使間のさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
使用者(事業主)と労働者(正社員、パート、アルバイト、派遣労働者等)の間で労働トラブルが起きてしまい、双方の話し合いによる解決が難しい場合は、解決のための『個別あっせん(以下あっせん)』を利用することができます。
個別あっせんとは、労働委員会のあっせん員が双方の間に入り、話し合いによる解決をサポートする制度です。
今回は、多くの労働紛争で使われている、個別あっせんについて説明します。
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『あっせん』の前に、まずは話し合いを

納得のいかない理由で解雇された、急に賃下げが起きた、意にそぐわない配置転換をされた、といったトラブルは、多くの職場で起きています。
これらの労使トラブルは原則的に、当事者同士の話し合いで解決できれば、それに越したことはありません。
しかし、話し合いなどを通じて自主的に解決するのが困難になってしまった場合は、中立的な立場の『労働委員会』に入ってもらい、労働争議の調整を依頼することも可能です。

労働委員会とは、『労働者が団結することを擁護し、労働関係の公正な調整を図ることを目的として、労働組合法に基づき設置された機関』で、都道府県ごとや国に設置されています。

労働委員会に依頼できる労働争議の調整には、調停と仲裁、そしてあっせんがあります。
調停は、調停委員が調停案を作成して、労使の双方に受諾を勧告する方法です。
仲裁は、労使双方が争議の解決を仲裁委員会に委ね、その決定に従います。
そして、個別あっせんにおいては、労働委員会のあっせん員が双方の主張を聞いたうえで、2者間の自主的解決を援助することになります。

これら労働争議の調整は、労働委員会が第三者として当事者に助言を与えるものであり、解決を強制するものではありません。
あくまで、労使間の歩み寄りのサポートをするためのものです。

したがって、万一、よい解決策が見つかったのなら、申請中に当事者のみの話し合いで解決しても問題はありません。


あっせんの内容と、その利用の流れ

次に、あっせんを含む労働争議の調整を受けたいと考えている場合の流れについて、説明します。

まず使用者・労働者の話し合いにより問題を解決できないときは、当事者のいずれかが、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーに相談し、そのうえで、労働争議の調整を利用することになります。

あっせんを受けることになったら、労働委員会事務局に申請を行い、受理されれば、事前調査を経て、あっせんが実施されます。

あっせん員は、労働問題の専門家で、経験も豊富な3名で構成されていて、あっせんの費用はかかりません。
このあっせん員で労使間の話し合いを取り持ち、主張を整理しながら、ときにはあっせん案を提示し、争議の解決を図るのです。
まず、あっせん員は労働者と事業主、双方の都合がよい日を選んで個別に事情を聞き、主張や意見につて協議をしたうえで、方針やあっせん案の提示を行います。
そして、労使双方がこのあっせん案に合意すれば、晴れて解決となります。

逆に、労働争議の調整でも解決に至らなかった場合には、裁判所で判断を下してもらうことになります。
その場合は、民事調停や少額訴訟などの手段がありますが、結審までにかかる費用や手間、時間を考えると、必ずしもプラスになるとは限りません。

万一、あっせんを利用するようなことになった場合は、訴えを裏付けする証拠が必要になります。
勤務状況がわかる書類や、問題が起きた従業員とのやりとりを記録したメモなどは、日ごろからきちんと保管しておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年9月現在の法令・情報等に基づいています。