Management LABO 経営会計事務所

病気を未然に防ぐ『健診事業』に注力して収益を上げる!

21.08.31
業種別【医業】
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国内における健診・人間ドッグの市場は、9,000億円を超えるといわれています。
病気予防や生活習慣の改善のために定期検診を受けることは社会人の常識になっており、仕事や家族に対する責任感から、基本メニューに自費でオプションを加えたり、自費で細かい検診を受けたりする人も少なくありません。
企業においても、一定の年齢を超えた従業員には人間ドッグの受診を促すことも多いようです。
病院にとっても健診事業への注力は、収益率の向上などのメリットをもたらします。
今回は、ビジネスとしての健診について考えてみましょう。
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健診事業は高い収益性が期待できる

厚生労働省が公表した『2019年 国民生活基礎調査の概況』によると、20歳以上の成人で、これまで健診や人間ドックを受けた人の割合は、男性が74.0%、女性が65.6%であることがわかりました。
健康意識の高まりなどによって、近年、この割合は上昇傾向にあり、また今後も増えていく可能性は高いといえます。

こうした新たな健診ニーズに対応することは、経営上、重要なことではないでしょうか。

病院が健診事業に注力することは、そのまま病院の収益アップにつながります。
特に、高単価で収益性の高い人間ドックを提供できれば、効率のよい収入減として期待できます。

一般的に、血液検査やレントゲン、胃カメラなどを伴う日帰りの人間ドックの相場は3~6万円程度です。
1泊2日で検査する場合や、がんや脳梗塞がないかを調べる場合は、さらに追加の費用が発生することになります。
3~6万円+αという金額は、入院患者の単価とそれほど変わりませんが、投入する医療資源は入院治療よりも少なくて済むため、収益性は高くなるというわけです。

自治体や企業などが提供している健康診断などは収益性が低いため、ハイエンド層に向けた、高単価で収益性の高い健診メニューも取り入れ、バランスよく実施する戦略を立てるとよいでしょう。

総合病院のなかには、病院内の健診部門として健診センターを併設し、ほかの部門との連携を図りながら運営しているところもあります。
通常、健診センターは医療保険の対象とならない検査や予防接種などを行うため、売上がそのまま病院の収益となります。


患者を囲い込みやすいというメリットも

健診事業に注力するもう一つのメリットが、患者の囲い込みができるということです。

患者が一度、ある医院で健診を受けたら、よほどの不満がなければ、翌年も同じ医院で健診を受けることがほとんどでしょう。
また、健診で病気が見つかったら、そのまま同じ病院で治療してもらおうとします。

つまり、健診事業を行うことは、患者との関係を構築する糸口になり得るのです。

逆に、健診で不満を持たれてしまったら、患者との関係性はそこで途切れてしまうため、注意を払う必要があります。
たとえば、「待合室が外来と一緒でプライバシーが守られていない」「婦人科健診なのに検査の担当者が男性だった」などの不満は、病院側の配慮で改善できるはずです。
患者に定期的にアンケートをとるなどして、まずは改善点を洗い出していきましょう。

健診事業は、病院の裁量でさまざまなアイデアが試せる分野です。
健診のオペレーションを受診者別や検査別の時間に記録して可視化することで効率化を図ってもよいですし、ほかの部門と連携を取りながら幅広い健診サービスを提供することもできます。
富裕層をターゲットにした高単価な健診プログラムを実施してもよいでしょう。

患者にとって健診とは面倒くさいもので、できれば受けたくないもの。
病院側はいかに患者に健診を受けてもらうか、いろいろなアイデアを出していく必要があります。

近年はオプションメニューのバリエーションや充実などによって、患者の細かなニーズに応えようとする医院も出てきており、今後、健診・人間ドック市場はさらに盛り上がっていくことが予想されます。
自分たちの医院ではどんな健診メニューを提供できるのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。