Management LABO 経営会計事務所

自由診療を導入し、新たに提供できるサービスを考えよう

20.12.01
業種別【医業】
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で会社倒産が相次ぐなか、医療機関も患者の足が遠のくなど、経営が芳しくない状況にあります。
さまざまな打開策が練られているなかで、自由診療の導入もそのうちの一つといえるでしょう。
保険診療一本でやってきた医療機関にとっては、患者の自己負担額が跳ね上がる自由診療には抵抗があるかもしれませんが、患者ファーストで捉えれば、自由診療も診療の選択肢を広げる手段となります。
そこで今回は、自院の新たなサービスになり得る、自由診療について説明します。
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メリットとデメリットどちらも大きい自由診療

医療スタッフにとって保険診療は身近であり、さまざまなルールや規定があるのはご承知の通りです。
患者は、年齢や健康保険の種類、所得状況などにより、原則として治療費の1~3割で必要な医療を受けられます。
また、高額療養費制度によって月々の自己負担上限額を超えた分を払い戻すこともできます。

一方、自由診療は、厚生労働省が承認していない治療や薬を使うため、保険が適用されず、治療費は全て患者の自己負担となります。
高額療養費制度も適用されず、自己負担額は高額になりがちです。

また、これら保険診療と自由診療の混合診療は認められておらず、ある治療において自由診療を選択したら、本来健康保険が適用される治療が含まれていても、すべて自己負担となることが法律で決められています。
保険適用の部分だけを見ると、保険診療のほうが患者のお財布に優しく、メリットが大きいといえるでしょう。

では、なぜ自由診療が行われるのでしょうか。
それは、保険上のルールや規制にとらわれず、治療を最優先に考え、体質や病気の状態に合わせてたくさんの選択肢のなかから治療法を選ぶことができるからです。
たとえば、がんは、自由診療の選択肢が多い病気の一つです。
がんのように進行型の病気で、保険診療では対処できない状態になってしまった場合でも、自由診療でまた別の治療法を選んで提供し、治癒の可能性を高めることができます。

治療のためにあらゆる手を尽くしたいと考える患者や医者にとって、自由診療によって選択肢が増えることは、ありがたいことといえます。

がんにおいては、ここ数年で自由診療に対応しているがん保険も多くなってきています。
普段からそういった保険適用外にも選択肢があるという情報を患者に提供しておき、いざというときに自由診療による治療と共に治療費の案内ができるような体制を整えておくと、患者に寄り添ったサービスとして喜ばれるでしょう。


患者との信頼関係の構築が重要になる

自由診療に該当する治療法の数は、非常に多くあります。
たとえば、日本では未承認ではあるものの、海外では承認済みの最先端技術を活用した治療法などが自由診療に該当します。

一般的には、次のような診療が自由診療として行われています。

●レーシックなどの視力矯正手術
●美容整形手術
●子宮がん検診
●胃内視鏡検査
●男性型脱毛症(AGA)治療
●人間ドック

これらは、保険適用の診療分も含めて、治療費が全額患者負担となります。

また、自由診療と同じように患者が全額自己負担する診療として、厚生労働大臣が認めた『高度な医療技術を用いた治療方法』である『先進医療』があります。
こちらは一定の施設基準を満たした特定の医療機関で受ける先進医療であれば、通常の保険診療と先進医療の併用が認められています
つまり、先進医療部分は全額を自己負担で支払うことになりますが、公的医療保険が適用される保険診療部分は通常通り3割負担で治療が受けられるのです。
とはいえ、治療を受けられる医療機関が特定されているので、患者にとってはハードルが高いといえるかもしれません。

患者にとって保険診療にはない治療を受けられるメリットと、治療費が高額になるデメリットのある自由診療。
自由診療を提案するには、これまで以上に患者とのコミュニケーション、カウンセリング体制、信頼関係の構築がより重要となります。
そして何より、きちんと適切な治療を提供できるよう情報を集め、自院の専門性を高めることが大切です。
また、現行の保険診療では行えない、『病気予防』や『老化予防』(アンチエイジング)対策など、健康な人の悩みに対応するサービスなどを検討してみるのもよいでしょう。

コロナ渦を経て迎える新たなクリニック設計として、患者さんが地域を越えて治療に訪れるようなサービスを考え、自院ならではの自由診療を取り入れてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。