Management LABO 経営会計事務所

外国人スタッフを雇用する際のメリットと注意点は?

20.06.02
業種別【飲食業】
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時代のダイバーシティ・グローバル化にともない、日本でも今後さらに、都心を中心に飲食店などでの外国人スタッフの雇用が増えることが予想されます。 
お店に来るさまざまなお客の言語に対応できるように外国人スタッフを雇用したい場合、どんな点に注意すべきなのか、在留資格や雇用パターンごとに紹介します。
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職場の異文化交流から生まれるメリット

外国人スタッフを雇用することで得られるメリットは、いくつもあります。

たとえば、職場の異文化交流のなかで、日本人スタッフだけでは考えつかなかった新たなアイデアを実践できたり、仕事に対する考え方の違いを感じたり、日本人スタッフとして刺激を受けることもあるでしょう。

また、外国人スタッフによる、外国人観光客との母国語を駆使したスムーズなコミュニケーションは、お客に“この店は言葉が通じる”という安心感を与え、集客にとってもプラスに働きます。
そもそも、日本で働きたいという外国人は総じて労働意欲が高く、言葉の壁や文化の違いを乗り越える努力を重ねて真面目に働いてくれる傾向にあります。
仮に外国人スタッフの知人に飲食店で働きたいという人がいた場合は、紹介してもらうことで、わざわざ求人広告を出さずに外国語を話せる人材を確保することもできるでしょう。

このように、外国人スタッフの雇用は、店の戦力としても大きな頼りになります。
ただし、なかには日本語の読み書きができず、一緒に働く日本人スタッフとのコミュニケーションが成立しないことでストレスを抱えてしまう人もいるでしょう。
日本語がある程度理解できることを前提に雇用しなければ、早々と辞めてしまうというリスクもあります。

また、外国人を雇うには繁雑な手続きをクリアしなければなりません。
日本にいる外国人は、大きく分けて『就労ビザ』または『留学ビザ』を取得しており、それぞれ雇用までの手続きと条件も異なります。
外国人の雇用に関する情報は常に更新されていくため、雇用した後もしっかり把握していく必要があるでしょう。

外国人が日本で働く場合には、就労することができる『在留資格』を取得しなければなりません。
それではここで、60日間以上日本に滞在する外国人が、必ず取得する『在留資格』について見ていきましょう。

2019年4月の改正入管法による新在留資格『特定技能』と、2019年5月の法務省告示の改正『特定活動』により、これまで飲食店で接客スタッフとして正社員雇用できなかった外国人を雇用できるようになりました。

29ある在留資格のうち、飲食店で働くことが可能な項目は以下の9つです。
(1)定住者
(2)永住者
(3)日本人の配偶者等
(4)永住者の配偶者等
(5)留学
(6)家族滞在
(7)特定活動
(8)技能
(9)特定技能
上記の(1)~(2)は、就労制限がない資格。
(5)~(7)は就労制限があり、アルバイトであれば資格外活動許可が必要となります。
(1)~(4)、(7)~(9)を取得した外国人は、一定条件を満たせば正社員雇用に切り替えることも可能です。

アルバイト採用の場合は、在留資格に加え、『在留期間』と『資格外活動許可欄』(在留カード裏面の記載)の確認も必要となります。
資格外活動許可とは、許可された在留資格に応じた活動以外に、収入を伴う事業を運営する活動、または報酬を受ける活動を行おうとする場合に申請して受ける許可です。


『社会保険』などは日本人の雇用と同じ

次に、外国人スタッフを雇用する際の社会保険などについても見ていきましょう。

社会保険や労働保険の取り扱いは、日本人スタッフも外国人スタッフも同様です。
ただし、正社員雇用と、アルバイト・パートタイマー雇用とでは異なる点があるため、以下の点に注意して、両方を把握しておくことが大切です。

【正社員の場合】
健康保険、厚生年金保険、雇用保険の被保険者となります。
雇用保険の資格取得届には在留資格等の欄に漏れなく記入し、ハローワークに届け出をします。
労災保険に関しては、個別の資格取得手続は不要です。

【アルバイト・パートタイマーの場合】
■健康保険/厚生年金保険
所定の労働時間によって、加入の要否が異なります。
週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の場合、健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります(特定適用事業所の場合は別途要件あり)。

■雇用保険
所定の労働時間によって、加入の要否が異なります。
週の所定労働時間が20時間以上の場合、被保険者に該当します。
ただし、昼間学生は日本人・外国人を問わず、雇用保険の被保険者から外れます。
そのため、留学生が『資格外活動の許可』を得て働く場合は、被保険者に該当しません。
また、ワーキングホリデーは来日目的が休暇であり就労ではないため、雇用保険の被保険者とはなりません。
雇用保険に加入しない場合は、ハローワークに『雇入れ・離職に係る外国人雇用状況通知書』を届け出る必要があります。

■労働者災害補償保険(労災保険)
事業主は、パートタイマー、アルバイト等を問わず、労働者を一人でも雇っている場合は労災保険に加入しなければいけません。
外国人スタッフの雇用に対しても、所定労働時間にかかわらず、たとえ不法就労であった場合でも適用されます。

このように、外国人スタッフの雇用にはメリットもありますが、さまざまな知識と手続きが必要となります。
しかし、上手に取り組めば、自身の店を発展させるチャンスでもあります。
将来的にどのような店にしたいのかを考え、前向きに検討してみてもよいかもしれません。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。