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押さえておきたい! 交通事故の慰謝料額の決め方とは?

20.05.26
ビジネス【法律豆知識】
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車社会の現代、誰しも交通事故に巻き込まれる可能性があります。
交通事故に遭うと、加害者側から慰謝料が支払われますが、その仕組みを把握しておかないと後悔するかもしれません。 
そこで今回は、交通事故における慰謝料額がどのようにして決められているのか、また後遺障害の有無によって慰謝料額がどのように違ってくるのかについて、説明します。
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通院期間や頻度で変わる慰謝料額

交通事故に遭った場合、整形外科や整骨院等に通院し、治療することになります。
これらの治療のための通院期間は、加害者側に請求することができる慰謝料の金額に影響します。
被害者は加害者に対し、治療関係費用といった実費とは別に傷害を受けたことに対する精神的苦痛についても損害賠償請求することができます。
これを慰謝料といいます。
しかし、被害者の精神的苦痛を数値化して損害額を算定することは困難です。
そこで、実務上、慰謝料金額は、入院期間や通院期間に依存することになっています。
詳細な入通院期間と慰謝料額の関係については、通称“赤い本”と呼ばれる『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』に記載されています。
もっとも総通院期間が長ければよいというものではなく、通院頻度も金額に影響します。
たとえば半年間通院していたとしても、通院頻度として、週に2度定期的に通院している場合と、月に1度程度しか通院していない場合とでは、後者は傷害自体大したことがなかったと推認され、慰謝料額が減額されてしまいます。
「仕事が忙しくて通院できませんでした」という被害者もいますが、無理して通院より仕事を優先した結果、慰謝料額が低くなる可能性があることを覚えておきましょう。


症状固定日に気をつけよう

被害者は、通院期間中どこかのタイミングで(半年程度が目安)加害者の保険会社側から「そろそろ症状固定なので診断書を書いてもらうようにしてください」といわれます。
症状固定とは、交通事故によって発生した傷害に対する治療が終了することを指します。
終了とは、完治を意味するものではなく、あくまで現代の医療水準においてこれ以上症状が改善しない状態になることです。
そのため、症状固定日以降治療費が発生したとしても、当該傷害のための治療ではないと評価され、その治療費を保険会社が払ってくれなくなります。
保険会社の言う通りにしていると、治療費が自己負担になってしまっていたということもあり得ますので、本当に治療を終了してもよいのか、担当医とよく相談するようにしてください。


後遺障害が残る事故に遭った場合は?

交通事故の傷害が完治せずに、後の被害者の生活に影響を及ぼすことがあります。
むち打ち症の被害者が、受傷後何年も経過しているのにもかかわらず、「寒くなると首のあたりに痛みを感じる」といった不調を訴えるのもこの一つです。
これが後遺障害といわれるものです。
厳密にいえば、後遺障害は前述した症状固定時に残存している症状のことをいいます。
後遺障害は、労災(労働者災害補償保険)に準じて1級から14級に等級分けされており、1級が最も重く、14級が最も軽いものです。
自動車の交通事故においては、損害保険料率算出機構という機関が後遺症の等級認定を行います。
もちろん必ずしも後遺障害が認められるわけではなく、非該当という結論もあり得ます。
後遺障害の等級に該当する場合と、非該当となる場合では、逸失利益(後遺障害が残存したために将来的に失うであろう収入額)を請求できるか否かで異なってきます。
逸失利益は、被害者の収入や年齢によって異なりますが、場合によっては億単位にまで達することもあるため、非常に大きな問題となります。
後遺障害が認められるか、認められるとしてどの等級に該当するかどうかは、医師に作成してもらう後遺障害診断書への記載内容等によっても変わってきますので、後遺障害が残る事故であれば一度弁護士に相談し、場合によっては弁護士に担当医と面談してもらうことも考えた方がよいかもしれません。

事故からの時間の経過とともに、事故のことが頭から離れていき、なんとなく加害者側の保険会社の言う通りにしてしまうこともあるかもしれません。
加害者側の保険会社から言われたことについて、一度立ち止まって考えみるとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。