Management LABO 経営会計事務所

経理担当者の頭を悩ませるグレーゾーンの経費の処理方法

19.10.08
ビジネス【税務・会計】
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仕入や売上の管理、税金の計算など、会社のお金を扱う経理の仕事。
ミスが発生しないように慎重に業務を行わなくてはなりませんが、そんな経理の仕事のなかでも担当者の頭を悩ませるのが、経費の処理の方法です。
適正な理由で発行された領収書や請求書は『事業を行うために必要な支払い』として、経費と認められます。
一方で、プライベートで使ったお金など『事業を行ううえで不必要な支払い』は経費として認められません。
では、このどちらともいえない、グレーゾーンの領収書や請求書は、どう判断するべきでしょうか。
今回は、『経費で落ちる・落ちない』問題を掘り下げていきたいと思います。
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『税務調査が入ったら』の視点で考えてみる

経理部では、社員から上がってくる領収書や請求書をチェックしなければならないのはもちろん、グレーゾーンの領収書や請求書をどう扱うかという問題にも対処しなければなりません。

しかし、どこまでが経費になるのかは、会社によって異なります。
なぜならば、経費にはこれといって明確な基準がないからです。

仕事で使用したものは経費として認められ、プライベートで使用したものは経費にできないというのが基本です。
しかし、中小企業や個人事業主などであれば、公私の境界線をはっきりと決めることがむずかしく、そのため、どちらとも判断しにくいグレーゾーンの案件が出てきます。

たとえば、親しい友人数名と食事に行った場合、通常であればこれらの飲食代はプライベートにあたるため経費にすることはできません。
しかし、その友人が同業で、食事の場で事業にまつわる有益な情報を交換した場合などは、その飲食代は『交際費』として経費にできる可能性があります。

また、出張で遠方に出かけて、せっかくだからと営業日と休暇を合体させて、観光を楽しんだ場合なども判断がむずかしい案件です。
業務で新幹線を使ったり、出先に宿泊したりした場合は当然『旅費交通費』として経費になります。
しかし、その宿泊先から観光するためにローカル線を使って移動した際など、その区間はプライベートでの使用になるため、経費で落とすことはできません。

これらのグレーゾーンの領収書や請求書が『シロ』になるのか『クロ』になるのかは、結局、税務調査が入った際に、その調査官に対して、納得してもらえる理由を明確に提示できるかどうかにかかってきます。

つまり、その領収書や請求書が、『事業を行うために必要な支払い』であることをしっかりと説明できれば、その案件は『シロ』です。
逆に、調査官に対して、正しく説明できなければ、『事業を行うために必要な支払い』であったとしても、『クロ』とみなされてしまいます。
グレーゾーンの案件に対し、経費にできるかどうかを判断する際は、この『税務調査が入ったら、きちんと説明できるかどうか』という視点で考えてみるとよいでしょう。
ただし、プライベートの領収書や請求書を、いかにも仕事で使ったかのように説明するような不正を行ってはいけません。


グレーゾーンの領収書にはメモが有効

税務調査の際の『説得材料』として、普段から経費の内容についてメモをしておくのも方法の一つです。

たとえば、『交際費』として経費計上するつもりであれば、食事の際の人数や場所、取引先名、時間、会話の内容などを明記しておきます。
メモ帳に記載してもいいですが、その領収書の裏面などに直接書いておけば、忘れませんし、整理しやすいでしょう。

また、『旅費交通費』であれば、日付はもちろん、利用区間(乗車駅、下車駅)や移動の目的などを書いておくといいでしょう。
近年の交通系ICカードは、駅の券売機やバス営業所などで、過去の履歴を印字してくれるサービスを行っています。
その履歴と併せて、詳細なメモを保存しておくと、税務署の調査官に対してより明確な説明ができるでしょう。

実際に税務調査が入った場合には、これらのメモを元に、その領収書が事業に関係するものだったことを説明することになります。
税務署の調査官は、その領収書が本当に事業に関係したものかどうかをチェックするので、こちらにやましい部分がなければ、正直に、その領収書が事業にどのように関係するのかを話すとよいでしょう。

前述した通り、経費には『これがシロで、これはクロ』というような明確な基準がありません。
たとえ、調査官が『この交際費は経費として認められない』と判断したものであったとしても、交渉次第ではその何割かが経費として認められる場合もあります。
そのためには、常日頃から、経費の内容・詳細をしっかりとメモしておくことが大切なのです。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。