Management LABO 経営会計事務所

前向きな治療を促す“セカンドカウンセリング”とは?

19.04.02
業種別【歯科医業】
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初診で検査、2回目の来院から本格的な治療に入る歯科医院。
しかし、「検査を受けても結果について詳しい説明がないまま、次回の来院を促された」と不満を感じる患者は意外と多いもの。
検査結果を患者自身が把握していなければ、治療後に改善が見られても、それを実感しづらくなってしまいます。
「治療に納得がいかない」といったクレームにもつながりかねません。
今回は、こうした問題を改善するための、“セカンドカウンセリング”についてご紹介します。
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治療を続けるモチベーションを上げるために

患者に前向きな気持ちで治療を受けてもらうためには、本人に口腔内の現状を正しく理解してもらうことが必要です。
初診時の検査結果は患者が思っている以上に深刻な場合もあります。
それは歯科知識を与えられる機会がなかったため、自身の口腔内の問題を把握できないまま、日常生活に支障がないと自己判断して悪化させてしまっていたことが原因と考えられます。
そこで有効なのが、患者にわかりやすく説明しながら治療計画を立てていくセカンドカウンセリング”です。

たとえば、『歯周病』や『虫歯』などの言葉は知っていても、その種類やリスク、治療の選択肢について詳しく知らないという人がほとんどです。
セカンドカウンセリングでは、患者に口腔内の現状を過不足なく伝え、それに応じた医師の治療方針と治療技術を説明していきます。
そのうえで、患者が納得し、自分で選択した治療を行うことで、最終的な満足度は高くなります。

予防歯科の場合にもセカンドカウンセリングの役割は重要です。
予防歯科は口腔内の疾病原因を取り除くことを目標としていますが、歯科医院で施す治療だけでなく、患者自身による毎日の歯のケアや生活習慣の見直しといった協力が必要になってくるからです。
歯周病などを防ぐためにも、毎日の歯みがきや定期的な歯石除去が有効であることを、セカンドカウンセリングで理解してもらうことが大事です。


セカンドカウンセリングを導入するには?

通常、歯科医院では、歯科医、口腔外科医、歯科技工士、歯科衛生士、歯科助手、医療事務などのスタッフがそれぞれの役割で機能しています。
予約時間に来院した患者を待たせることなく治療にあたりながら、スタッフの誰かがセカンドカウンセリングの対応をしていくのはむずかしい部分もあります。
治療に関する広い知識を持ったセカンドカウンセリング担当の人材を配置し、患者にも新しい相談窓口として親しんでもらうのが理想的です。

欧米では、歯科医師と患者の間に立って、治療方法に関する相談を受けたり、診療スケジュールに沿って治療を行うための管理をするトリートメントコーディネーター”(以下、TC)が歯科領域で確立されており、患者のために支払い方法などのファイナンス計画を立てたりもします。
日本でも、一般社団法人日本歯科TC協会による『TC資格認定制度』があり、歯科医療の現場でTCによるセカンドカウンセリングが浸透し始めています。
日本歯科TC協会のホームページでは、TCの人材像を次のように説明しています。

1. 患者コミュニケーションの専門家として、高付加価値提案ができる人材
2. 予防や最新治療についての知識を備えた人材
3. 歯科医院院長の片腕として経営に参画し、経営面において活躍ができる人材

TCは、歯が悪くなってつらかったこと、過去の歯科治療での体験、医院への要望などを患者からていねいに聞いていきます。
これは一方的な治療ではなく、患者にとってベストな治療法を探り、患者と一緒に良い口腔状態を目指すことを大切にするための一助になっています。
また、治療後にもカウンセリングを実施し、定期検診の大切さを伝えることで、患者の“歯に対する価値観”も向上していきます。

初診時の内容とセカンドカウンセリングがうまく機能していれば、患者のほとんどが予防歯科を理解し、前向きで継続的な治療を選択してくれるはずです。
セカンドカウンセリングは患者自身が口腔内の問題と向き合う時間にもなり、患者のためにも大切なものになるはずです。
TCなども効果的に活用して、“患者が相談したくなる歯科医院”を目指しましょう。


※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。