Management LABO 経営会計事務所

商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その2

18.02.16
ビジネス【マーケティング】
dummy
自社の新商品やサービスにどんな名前をつければいいのか、悩むことは多いですよね。 

前回は“What to say(何を言うか)”についてお話させていただきました。 
今回は、“What to say”の言い換えをする作業、“How to say(どう言うか)”についてご紹介します。
dummy
“How to say(どう言うか)”を考える 

前回、ネーミングを考える際は 
(1)いきなり具体案を考えず“What to say(何を言うか)”と“How to say(どう言うか)”に分ける 
(2)“What to say”として、伝えたい特長を5つほど挙げる 
という作業を最初に行うとお伝えしました。 

今回は、その次の段階として“ネーミングの基本作業”ともいえる“How to say(どう言うか)”について説明していきます。 

How to sayとは、伝えたい特長を挙げたWhat to sayの言い換えを行っていく作業のことで、以下の手順で行います。 

手順1:とにかく数を出す(拡散) 
手順2:しぼる・選ぶ(収束) 
手順3:ころがす・磨く(定着)

5つほどに絞ったWhat to sayひとつずつに対して、少なくとも10案以上、できれば50~100案のHow to sayを考えます。 

では、How to sayとは具体的にどのようなものを指すのでしょうか? 
『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)という本を参考に、手順1の『とにかく数を出す(拡散)』について考えていきましょう。 

たとえば、What to sayが“明るい”だった場合、その意味合いを表すキーワードを以下のようにできるだけ多く考えます。 

“光、火、輝き、陽、燦燦、灼熱、明朗、太陽、お日様、月、お天道様、ポカポカ、ジリジリ、眩しい、朗らか、日なたぼっこ、ニコニコ……” 

日本語だけでなく、英語など他言語でも考えてみましょう。 

“Light、Sun、Soleil、Bright、Shine、Shiny、Apollo、Star、Moon、Luna、Galaxy……” 

この段階では、キーワードを可能な限り次々と出していくことが重要です。 
多くのキーワードを出すコツについては、以前ご紹介した“ブレーン・ストーミング”の手法を参考にしてください(ブレーン・ストーミングの記事はこちら)。 


連想させたキーワードをしぼる 

次に、手順2の『しぼる・選ぶ(収束)』については、以下の点に気をつけて行いましょう。 

・How to sayに表わされているWhat to sayについて常に確認する 
・その案の“イイところ”や“ダメなところ”を言葉にしてみる 
・選ぶときには、“A4の紙”1枚に1案を書いて感覚も含めて選ぶ など 

つまり、考えたHow to sayがWhat to sayと共通の意味合いを持つかを確認・精査し、紙やWEBなど実際の文字サイズでデザインのイメージを考えながら選ぶことが大切です。  


言葉をさらに発展させる 

最後に、手順3『ころがす・磨く(定着)』のやり方について“クールな青”というコピーがついたスポーツ飲料を例に考えてみましょう。 

クールな青 ⇒ ひんやりとしたブルー ⇒ ブルーに冷やされる夏 ⇒ 火照った心を青で冷やす 

このように“言葉やイメージを転がして”どんどん発展させていくのです。 

次回もこの続き、ネーミングの秘訣(How to say)について、考えていきましょう。 


次回:商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その3



佐藤達郎のマーケティング論

●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。